2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410021
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
澤口 俊之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00183830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨森 賢一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70344471)
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Keywords | 前頭連合野 / 報酬 / サル / ドーパミン / 行動切り替え / 局所投与 / モノアミン / 眼球運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は前頭連合野の報酬処理系におけるモノアミンとその受容体の役割を、サルを用いて解明することにある。この目的のため、最終年度である本年度は、前頭連合野の報酬処理系に関して、ニューロンレベル、分子レベル両者を組み合わせた総合的研究を行った。 前頭連合野の報酬処理系に注目するため、我々は、先行研究より前頭連合野の関与が示唆されてきた、報酬依存的なセット切り替え学習に焦点を当てた。まず、これらのニューロン機構を明らかにするため、2頭のサルに、過去の選択の結果(報酬の有無)に基づいて、2種類のcueのどちらを選択するのか切り替えることが要求される、眼球運動性セット切り替え課題を訓練した。サルがこの課題を遂行する間、前頭連合野から単一ニューロン活動を記録したところ、行動の切り替えに必要な様々な情報(直前の報酬の有無、直前に選んだcueの色・次に選ぶべきcueの色、)が、前頭連合野ニューロンによってすべて再現されることがわかった。これらのニューロン再現は、報酬依存的なセット切り替え学習の神経基礎として、重要な役割を果たすと考えられる。 次に、これらの学習に関わるモノアミンの役割を明らかにするため、同様の眼球運動性セット切り替え課題遂行中の2頭のサル前頭連合野に、ドーパミンD1受容体、D2受容体、ノルアドレナリンα2受容体いずれかの阻害剤を局所的に注入した。その結果、ドーパミンD1受容体を注入したときのみ、前に選んだcueに固執するエラーの頻度が有意に増加した。このことから、セット切り替え時には、ドーパミンD1受容体の関与が示唆された。 以上我々は、ニューロンレベル、分子レベル両レベルにおいて、報酬依存的なセット切り替え学習に関する貴重な成果を得た。これらの成果は、前頭連合野の報酬処理系におけるモノアミンやその受容体の役割の解明に寄与し得る、基礎的かつ重要なものであると考えられる。
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Research Products
(10 results)