2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを含む霊長類における音声情報の認知発達:言語と音楽を用いた比較認知研究
Project/Area Number |
13410024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 秀樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80314243)
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Keywords | 音声 / 音楽 / 言語 / 霊長類 / 分節化 |
Research Abstract |
ヒトの6ヶ月齢の乳児および3ヶ月齢の乳児それぞれ10名と、ニホンザル10頭を対象にして、連続的な言語朗読および歌唱音声の刺激提示を行い、単位分節化の程度を検証した。刺激自体は一昨年・昨年度に開発したものを基本とし、かつそれに加工処理を施した。具体的には音声をコンピューターに取り込み、その基本周波数成分以外の音響要求の除去を行った。従って、音韻的特徴はいっさい知覚することができない状態となった。その後順行のプレイバックと逆行のプレイバックを行った。実験のパラダイムは選向注視法によった。反応指標として刺激提示方向への注視時間を測定した。分節化の程度として、長さが1分におよぶ文(30語文)を平常の発話および歌唱によってプレイバックしたのち、そのなかに埋め込まれた単語2つをターゲットとして、その一つを各試行で文のプレイバック5秒後に提示し、反応を測定した。ついでコントロール条件として、ターゲット刺激の語と同じ音節数でありながら、以前にプレイバックされなかった語彙を提示し、反応時間をターゲット刺激との間で比較した。その結果、基本周波数成分以外の要素が除去された場合であっても、有意な値の差が2条件の間に見られることが判明した。またその差は乳児ばかりかニホンザルにも生ずることが明らかとなった。分節化には基本周波数成分の影響が大きく、かつそれは系統的に連続した知覚特性であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 梶川祥世, 正高信男: "乳児における朗読音声中に含めれた語彙パターンの認知"心理学研究. 74・3. 244-252 (2003)
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[Publications] N.Masataka: "The Onset of Language"Cambridge University Press. 281 (2002)