2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを含む霊長類における音声情報の認知発達:言語と音楽を用いた比較認知研究
Project/Area Number |
13410024
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Research Institution | Primate Research Institute, Kyoto University |
Principal Investigator |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 秀樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80314243)
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Keywords | 音声 / 音楽 / 言語 / 霊長類 / 文節化 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトに固有かつ主要な音声コミュニケーション形態である言語と音楽に関して、比較認知科学的研究をおこなうことにより、音声言語に特徴的な情報処理メカニズムを追求した。過去3年間には、ヒト乳児とニホンザルを対象として、言語朗読および歌唱発声を提示して、単位分節化の実験をおこなった。さらに刺激を人工的に加工し、発声内の音素の要素を除去して、文節的特徴が不明瞭なsound streamを作成し、それにたいする分節化能力の程度を研究した。 本年度は、いままでに得られた知見をふまえ、同一刺激をニホンザル以外の霊長類を対象に呈示し、結果の普遍性の検討を行なった。基本的な実験パラダイムは、過去3年のものとおなじものを踏襲した。研究対象はコモンマーモセット10頭である。昨年および一昨年の実験で用いたのと同一の刺激を使用して実験をおこなった。ただし、それぞれの刺激について加工処理をほどこし、具体的には音声をコンピュータに取り込み、その基本周波数成分以外の音響要素をすべて除去した。したがって、音韻的特徴はいっさい知覚できない。そののち、順行および逆行で被験者にプレイバックした。実験の指標としては、選好注視法を採用した。すなわち刺激方向への注視時間を測定した。その結果、被験者は一般に刺激の分節化が容易な刺激を好む強い傾向をしめした。それゆえ、もし音韻要素を分節化のてがかりとして100パーセントもちいているのなら、これらの刺激にたいし被験者はいっさい注視選好することがないはずである。だが音韻以外の要素(たとえば超分節的特徴)が分節化になんらかの影響をおよぼしていると予想された。そうした結果に基づき、ヒト乳児と旧世界ザルおよび新世界ザルの認知情報処理のプロセスの比較検討をおこなった。
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