2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410027
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤田 尚文 高知大学, 教育学部, 教授 (10165384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 秀男 高知大学, 教育学部, 教授 (90294818)
入江 隆 高知大学, 教育学部, 助教授 (70253325)
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Keywords | やわらかさ / 弾力性 / 3要素モデル / 平衡弾性係数 / 緩和弾性係数 |
Research Abstract |
昨年度までにおいて、心理学的なやわらかさは「かたい-やわらかい」次元と「弾力性」次元の2次元からなり、「かたい-やわらかい」次元は、物理量としては、ばね係数に規定されること、生理量としては、筋運動感覚(深部感覚)と密接な関係があることが明らかになった。残された問題としては、「弾力性」の次元を支える物理量の問題と、刺激素材をもっと粘性の高いものを含めたときに、ここまでに得られた知見が成り立つかどうかを調べることであった。 そこで、今年度は、昨年よりも粘性の高い刺激素材を製作することから始めた。これらの刺激を含めた刺激15個を用い、SD法によって、各刺激を6種類の形容詞によって感性評価させたところ、これらが、はやり、「かたい-やわらかい」次元と「弾力性」次元の2次元からなることを明らかにすることができた(実験1)。 次にこれらの刺激に対する感性評価に速度依存性があるかどうかを調べるために、押し込む速度を3段階設定して(2.5Hz、1.25Hz、0.625Hz)、両次元についてマグニチュード推定をさせたところ、両次元とも速度依存性がないことがわかった(実験2)。 これらの結果をより詳しく分析するためにモデル構成をおこなったところ、(1)刺激素材は物理学的には5要素のMaxwellモデルによって表現するのが適切であるのに対し、心理学的にはは3要素の重回帰モデルで表現できる、(2)実験1と実験2の「かたい-やわらかい」次元については、全く同一の係数からなる重回帰式が妥当であるのに対し、(3)「弾力性」次元における実験1と実験2の重回帰式の係数は、平衡弾性係数については同一であるが、緩和弾性係数については異なっていた。 昨年の刺激素材に対しては、ばね係数によって感性評価がほぼ決定されているように見えたのに対し、より粘性の高い刺激素材では粘性項を含む物理量によって心理量が決まるというのが新しい知見である。また「弾力性」の次元については、必ずしも物理量だけでこれが決まるわけではなく、さまざまな文脈の影響を受けることが示唆された。
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Research Products
(1 results)