2003 Fiscal Year Annual Research Report
自他境界の拡大―縮小メカニズムに関する社会心理学的研究
Project/Area Number |
13410036
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浦 光博 広島大学, 総合科学部, 教授 (90231183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
市橋 勝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10223108)
池田 加久子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (00184416)
長谷川 孝治 広島国際大学, 人間環境学部, 助手 (20341232)
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Keywords | 自他境界 / 内集団-外集団文脈 / 自他の一体感 / サポートの互恵性 / 関係満足 / サイバーコミュニケーション |
Research Abstract |
自他境界の拡大-縮小に影響を及ぼす要因と、拡大-縮小の個人ならびに関係に及ぼす影響の探索のため、多面的な検討を行った。まず、経済学の手法を用いて、主体間の相互依存性がいかに拡大するかに関してモデル化を試みた。この試みによって、自他境界が自他の相互作用を通して常に変動する様子を単純な線形代数モデルで表現しうることを明らかにした。次に、内集団一外集団文脈の影響を分析した。調査実験的手法を用いた多面的な検討によって、集団相互間の境界の浸透可能性の程度が、内集団での個人間の境界の変動に大きく影響することが示された。さらに、自己を独立性と差異性の双方で高く認識する者ほど、他者に対する排斥傾向が低くなることが示された。 また、自他の一体感の高まりと自己評価ならびに関係満足との関連について縦断的な調査によって検討した。まず、低自尊心者が高自尊心者との間に境界をなくすことは、しましば適応を損なうことになりがちであることが明らかにされた。また、友人との一体感が高まるほど、人はその友人との間で交換されるソーシャル・サポートの互恵性に対して敏感ではなくなることが示された。自分の境界の中に他者を包摂することで、自他の間で資源の共有化が起こることを反映したものであると考えられる。さらに、サイバーコミュニケーションの境界調整メカニズムを検討するため、質問紙調査によって携帯メールの交換の効果を分析した。結果は、携帯メールの交換が弱い紐帯として機能すること、そして関係調整メカニズムを持つことを示していた。
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