2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410040
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
干川 隆 熊本大学, 教育学部, 助教授 (90221564)
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Keywords | 生態学的自己 / 組織化 / 障害 / 光学的流動 / 立位姿勢 / 脳性まひ |
Research Abstract |
本研究の目的は、生態学的自己の発達と障害について検討することである。本研究での生態学的自己とは、環境の中の能動的な行為者として考えられる個体であり、光学的流動の中から定位と動きを直接に特定するものである。3年計画の2年目である本年は、1)障害のない大学生を被験者として光学的流動パターンにさらされたときの身体動揺に及ぼす動作法の効果、2)立位姿勢の不安定な脳性まひ者を被験者として動作法の前後での身体動揺の変化にっいて検討を行った。両実験とも身体動揺を測定するために足底圧測定装置を用いた。1)では、光学的流動の刺激を発生するためにフェイスマウントディスプレイを用いた。21名の被験者は動作法群と統制群に分けられ、動作法群では5試行の光学的流動の後に動作法による踏みしめ課題が実施され、その後光学的流動による5試行が実施された。統制群では動作法は案施されずに休憩を挟んで計10試行が実施された。3名の被験者をのぞいて18名の被騨者は、フェイスマウントディスプレイの光学的流動により引き込まれる感じを報告し、動作法群の被験者では、身体の操作性の変化を報告した。両群の差として光学的流動にさらされた後にのみ、統制群が動作法群よりも大きく身体動揺が生じることが明らかとなった。この点は、動作法による身体感覚の明確化の機能から考察した。2)に関しては、2名の脳性まひ者を被験者として、1名は1週間にわたる集中訓練の前後で一人で全く立てなかった被験者が1分まで立位姿勢がとれるようになり、1名は月に1度のセッションによってセッションの中で動作法の前後で一人で維持できる立位姿勢の時間が長くなること(10秒から30秒へ)が明らかとなった。これらの研究結果から、環境の中で知覚し定位する生態学的自己の発達において、環境と自己との組織化を促す動作法の機能が明らかとなった。今後は被験者数を増やして本知見を実証的に検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)