2003 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児・ADHD児における社会的障害の特微と教育的支援に関する研究
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13410042
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Research Institution | The National Institute of Special Education |
Principal Investigator |
東條 吉邦 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 分室, 研究室長 (00132720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是枝 喜代治 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 主任研究官 (70321594)
花輪 敏男 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 研究室長 (90332171)
廣瀬 由美子 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 分室, 主任研究官 (90321596)
大六 一志 武蔵野大学, 人間関係学部, 助教授 (10251323)
谷口 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50200481)
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Keywords | 自閉症 / 注意欠陥多動性障害(ADHD) / 社会性 / アセスメント / スクリーニング / 教育的支援 / アスペルガー症候群 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
1.英国で開発された自閉症に関する教師記入式の質問紙および保護者記入式の質問紙を翻訳し、自閉症を含む広汎性発達障害児、ADHD児、健常児の3群のデータを収集し分析した。この結果をもとに、自閉症スクリーニング質問紙(日本語版)と児童用AQ(日本語版)の2つを作成し、臨床的妥当性の検討および標準化へ向けての取り組みを実施した。また、これらの質問紙を用いて、自閉症児とADHD児の社会的困難性の特質の類似性と差異を検討した。 2.生理心理学的および神経心理学的側面から自閉症における社会的障害の本質を探ることを目的として、自閉症児と健常児を対象に、人の音声、人の動き、視線などへの注意の向け方について課題への反応の特徴(反応時間、正答率、誤反応の傾向)の分析と脳波の計測等から検討した。その結果、(1)語音識別課題遂行時の事象関連電位には自閉症児と健常児の間に差が認められること、(2)人の動きについては自閉症児も健常児も同様に知覚が可能であること、(3)視線については自閉症児も健常児も大半の子どもが反射的に視線の方向に注意を向けることが可能であることなどが見出された。 3.自閉症およびADHDの社会的な障害の特徴と運動面の不器用さとの関係について検討し、特に自閉症児、ADHD児の運動面への教育的支援の試みについて検討した。 4.保護者や成人当事者(高機能自閉症、,アスペルガー症候群、ADHDの本人)の協力を得て、自閉症とADHDそれぞれの障害の特質を踏まえた適切な教育的支援の方法や、社会的困難性への対処を主眼とした支援マニュアル(試案)を作成した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大六一志, 千住淳, 林恵津子, 東條吉邦, 市川宏伸: "自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)日本語版の開発"自閉性障害のある児童生徒の教育に関する研究. 7巻. 19-34 (2004)
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[Publications] 若林明雄, 東條吉邦, Baron-Cohen, S, Wheelwright, S.: "自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化"心理学研究. 75巻(印刷中). (2004)
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[Publications] Senju, A., Tojo, Y., Dairoku, H., Hasegawa, T.: "Reflexive orienting in response to eye gaze and an arrow in children with and without autism."Journal of Child Psychology and Psychiatry. 45巻3号. 445-458 (2004)
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[Publications] Senju, A., Yaguchi, K., Tojo, Y., Hasegawa, T.: "Eye contact does not facilitate detection in children with autism."Cognition (Elsevier Science Publishers). 89巻. 43-51 (2003)
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[Publications] 谷口清, 千住淳, 東條吉邦: "自閉症児の社会性障害に関する生理心理学的研究:語音識別反応と事象関連電位"自閉性障害のある児童生徒の教育に関する研究. 7巻. 57-64 (2004)