携帯電話利用の深化とその社会的影響に関する国際比較研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13410057
• Research Institution: Tokyo Keizai University
• Principal Investigator: 吉井 博明 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (10146269)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 土橋 臣吾 武蔵工業大学, 環境情報学部, 専任講師 (50350236) ; 羽渕 一代 弘前大学, 人文学部, 専任講師 (70333474) ; 松田 美佐 文教大学, 情報学部, 専任講師 (30292783)
• Keywords: 携帯電話 / インターネット / 利用 / 社会的影響 / モバイル / 国際比較

Research Abstract

今年度は、昨年度実施した日本国内における携帯電話利用実態調査を受け、海外での携帯電話利用実態調査を実施した。比較する国の選定を様々な角度から検討し、ブロードバンド・インターネットがもっとも普及しており、かつ携帯電話利用率も非常に高い韓国に決定した。まず、韓国の携帯電話利用に関する既存調査データの収集や文献調査を行い、その後、昨年8月末に韓国を訪問し、定量調査に必要な様々な情報を得るために、グループインタビューを行った。
グループインタビューは高校生、大学生、主婦、フルタイム勤務者の4つのグループについて行い、きわめて興味深い結果が得られた。その結果に基づき、昨年12月、韓国全土を対象にしたアンケート調査を訪問面接法(一部留め置き法を併用)により実施した。回収数は約1,500であり、昨年度実施した日本調査との比較をする上で充分な数を確保することができた。アンケート調査の結果、韓国における携帯電話利用は、日本と多くの点で共通点があるものの、日本よりはるかに通話のための利用が多く、また、携帯インターネットの利用が少ない等といった違いが見られた。これらの違いの背景には、制度(通信サービスヘの規制、携帯メールの相互通信)、技術(携帯端末、PCメールなどの競合技術)、文化(儒教的価値観や親子関係等)の違いなどがあるものと考えられる。
他方、日本国内における携帯電話利用の影響を継続的に詳しく調べるため、若者や主婦を主たる対象とするデプスインタビューを昨年度に引き続き行った。これらの成果については、今年度にとりまとめる予定である。

Research Products

• [Publications] 松田 美佐: "ケータイと人間関係の「選択」"現代風俗学研究(現代風俗研究会東京の会). 第9号. (2003)
• [Publications] 土橋 臣吾: "携帯インターネット利用の日常性"情報メディアセンター・ジャーナル. 第4号. (2003)
• [Publications] 土橋 臣吾: "家庭の日常と主婦の携帯電話利用"教育環境のデザイン研究分科会研究報告集(日本認知科学会). Vol.9 No.2. (2003)
• [Publications] 辻 泉: "携帯電話を元にした拡大パーソナル・ネットワーク調査の試み-若者の友人関係を中心に-"社会情報学研究. 第7号. (2003)
• [Publications] 金 仁培: "日本における携帯電話の利用と社会的影響"韓国情報社会学会誌. 103-131 (2002)
• [Publications] 松田美佐: "「ケータイ・インターネットと日本社会-普及の実態」水越伸・NHK「変革の世紀」プロジェクト編『NHKスペシャル変革の世紀II インターネット時代を生きるI』"日本放送出版. 293(231-239) (2003)
• [Publications] 吉井博明: "「携帯インターネットの利用実態」通信総合研究所、東京大学社会情報研究所編「世界インターネット利用の白書』"NTT出版. 234(145-164) (2002)