2001 Fiscal Year Annual Research Report
官民連携による教育行財政改革の新展開に関する国際比較研究
Project/Area Number |
13410081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高見 茂 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (60206878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 学 京都女子大学, 文学部, 教授 (60103834)
小松 郁夫 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (10130296)
白石 裕 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50025110)
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Keywords | PFI / VFM / 学校教育施設 / 教育文化施設 / コスト削減 / 競争原理 / 初期投資の削減 / コンサルタント |
Research Abstract |
本年度は、フィールド調査とアンケート調査を実施した。前者としては、PFIの国内適用事例、外国適用事例を取り扱った。国内適用事例調査としては、東京都の区部ユースプラザ、調布市調和小学校、神奈川県立医療福祉大学、千葉県市川市の中学校及び地域関連施設の聞き取り調査と資料収集を実施した。それぞれまだ先行事例で、試行錯誤の繰り返しの側面もあったが、財政的に厳しい状況の中での選択であったとの感が強かった。特にVFMが本当に出ているのか、20年、30年先まで同じ状況が続くのか、といったことを疑問視する向きもあった。外国事例としては、スウェーデン、イギリスの調査を実施した。スウェーデンの場合、高公財政負担の教育・福祉施策を採っていることから、財政問題からPFI適用が進んでいるようであったが、現実は全く相違しており、PFIの概念すら共通認識になっていない状況であった。イギリスについては、PFIスキームで整備された学校を訪問し、新年度の本調査のための予備調査を実施した。 アンケート調査としては、地方自治体の首長部局、教育委員会を対象としたものと、PFIの関わりを持つ企業を対象としたものを別個に作成し、郵送法による調査を実施した。平成14年3月20日現在、自治体関係は約43パーセント、他方企業は約40パーセントであった。PFIの学校への適用については厳しい見方も多く予断は許さないが、建築・維持管理部分についてはある程度の肯定的評価があるのではないか、と思われる回答が多かった。自治体では、PFI手法によって初期投資の軽減が得られることや競争原理によるコスト削減に大きな期待を寄せる回答が多かった。また企業の方は、民間の創意・工夫による質の良い教育条件の整備が可能になるとする回答が最も多かったが、本音では新しいビジネスチャンスとして期待する向きも数多くあった。これからもう少し多面的な分析を行う予定である。
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