2003 Fiscal Year Annual Research Report
官民連携による教育行財政改革の新展開に関する国際比較研究
Project/Area Number |
13410081
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高見 茂 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60206878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 学 京都女子大学, 文学部, 教授 (60103834)
小松 郁夫 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (10130296)
杉本 均 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50211983)
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Keywords | PFI / 外部委託 / 複合化施設 / BOT / BTO / 給食施設 / PPP |
Research Abstract |
本年度は、イギリスの調査としてロンドン郊外のイスリントンの教育委員会の運営を委託されたコンサルタント(CEA:ケンブリッジ・エデュケーション・アソシエイト)を訪問調査し、イスリントンの教育委員会の運営事情についても実地調査した。またPFIで整備された学校を訪問し、イギリスにおける現実の問題点について調査した。後者については、昨年10月の日本教育行政学会で発表した。 また日本国内の状況については、PFIや外部委託等によって学校運営面に企業がどこまで参入できるかについて、企業900社を対象にアンケート調査を実施した。いわゆるPPPの適用が学校運営部分のどこまで可能かということを検討した。企業を建設、教材開発、人材派遣等10業種、学校の運営部分を10分野に類型化し、それぞれの分野について可能性を聞いてみた。その結果を数量化理論で分析し、デンドログラムで結合して学校の運営部分の近似性を抽出してみた。企業の参入が見込め外部委託の可能性の高いものとして、給食、運輸業務、施設・備品・消耗品管理が指摘できる。その他の部分でも、モニタリング技術の開発によってアウトソースが可能となるものと思われるものが見られた。図書館業務、庶務・会計、研修関連業務等がそれに該当する。デンドログラムの結合状況の観察から、学校運営業務には教授行為を中心としたコア部分とその周辺部分であるノンコア部分に類型化されることが分かった。 さらに国内のフィールド調査としては、給食センター整備業務として福島県川俣町のBOTによる事例を取り上げ、現地への聞き取り調査を実施した。このケースは、実現寸前まで進んでいた計画が頓挫したものでその原因を調査した。政治過程の問題、住民のPFIに対する無理解(BTOではなくBOTでやる意味も含めて)等々によることが判明した。PFIスキームを進める上において、住民の理解、政治的安定性が極めて大きい要素であるといえる。また近年、学校施設と老人施設、学校施設とコミュニティ施設等の複合化施設の整備をPFIで実施するケースが増えている。今年度は、京都市御池中学校のケース、桑名市図書館のケースを取り上げ訪問調査を実施した。複数省庁からの補助金配分等のメリットがあるが、経費分担、事故防止等、多くの課題があることが分かった。
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