2001 Fiscal Year Annual Research Report
大学入試センター試験の視覚障害受験生に対する特別措置と問題作成の改善に関する研究
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13410083
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 聰尚 岡山大学, 教育学部, 教授 (50033634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 宏 筑波技術短期大学, 助教授 (50177466)
藤芳 衛 大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20190085)
山口 洋史 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (80066414)
志村 洋 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (80106153)
大庭 重治 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10194276)
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Keywords | 点字問題の量的適正化 / 点字入試問題の質的妥当性 / 触図の要素 / 触図作成のガイドライン / ドイツの視覚障害障害受験生 / イギリスの視覚障害受験生 / スェーデンの視覚障害受験生 / 中国の視覚障害受験生 |
Research Abstract |
1 試験問題の量的適正化の研究 視覚障害受験生の試験時間延長は現状では1.5倍である。この延長率では受験生に不利であるが、更なる延長は健康上好ましくない。したがって、この問題の対応は間題量の削減しかない。藤芳は代替試験用コンピュータベースト・テストの試作実験により国語・数学・英語の過去問題をデジタル化し、難易度、IRTにより項目パラメーターを推定し、問題プールを構築した。これによって大幅な試験時間の延長を必要としない方策を提言した(雑誌論文1,2)。 2 試験問題の質的妥当性の研究 試験問題に含まれる図表の代替化(図表を文章で説明、別問題の差し替え等)の妥当性を探るため、触図の構成要素をキャプション、図形要素、グラフ要素などに分類し、それぞれの最適化を図るための実験を行った。その結果を整理し、最適化のガイドラインの試案を提示した(加藤論文)。 3 外国の大学入試における視覚障害受験生への特別措置や問題作成の実情を把握するため、ドイツ(藤井聰尚)、イギリス(山口洋史)、スェーデン(加藤 宏)、中国(藤芳 衛)を訪問し、取り組みの実情とその課題について調査した。これらの国では、多くの場合点字試験問題の妥当性や公平性についてはほとんど議論がなく、障害者優先入試が焦点となっている。たとえば、ドイツの大学では原則として各大学の学籍定員の2%が障害者優先枠として確保され、一般入試における学籍配分から除かれている。これの法的基盤はいわゆる「不利益調整」であるが、その理念、経過、仕組み、問題点などを整理分析した。他のヨーロッパ諸国も大同小異であり、一般入試問題と点字入試問題の異同やその要因等はほとんど問題となっていない。中国では点字環境も整備されておらず、かつ大学に進学する視覚障害者も少ないことから問題が顕在化していない(図書1)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fujiyoshi.M: "Comparability of Paper and Pencil-Tests and Computer-based Tests in Terms of Distributions of Completion Time and Score"The National Center for University Entrance Examinations Research Bulletin. No.30. 66-82 (2001)
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[Publications] 藤芳 衛: "項目累積型時間-得点率曲線による障害受験生に対する試験時間延長率の新しい推定法"大学入試研究ジャーナル. 第11号(印刷中). (2002)
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[Publications] 加藤 宏: "重度視覚障害者の入試問題図の触読と問題解決"筑波技術短期大学テクノレポート. 8巻2号. 65-70 (2001)
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[Publications] 藤井 聰尚, 山口 洋史, 藤芳 衛, 加藤 宏, 小林 秀之: "視覚障害学生の大学進学と大学生活に関する実態調査報告"大学入試センター研究開発部(予定). 50 (2002)