2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410109
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Research Institution | University of Shiga prefecture |
Principal Investigator |
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (50183067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 潮 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70243673)
李 成市 早稲田大学, 文学部, 教授 (30242374)
亀田 修一 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (10140485)
高 正龍 立命館大学, 文学部, 助教授 (40330005)
吉井 秀夫 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90252410)
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Keywords | 韓国 / 出土文字資料 / 文字瓦 / 「大唐」銘軒丸瓦 / 「曾昌七年」銘瓦 / 船里出土文字瓦 / 城山山城木簡 |
Research Abstract |
今年度の調査は、まず文字瓦の採石・撮影・観察について、全州大学校博物館・円光大学校博物館・国立光州博物館・全南大学校博物館において実施した。それ以外に、観察等の調査については、東亜大学校博物館・釜山大学校博物館・国立扶餘文化財研究所・弥勒寺展示館・国立扶餘博物館において実施した。それらについてはカード化を終了している。また韓国で刊行された報告書をもとにした写真・拓本取り込みの作業も進めている。ただ、次々に出土する膨大な量に対応することができず、継続して作業をつづけたうえで、全体をデータベースとして公開したい。 研究としては、古代学協会の協力を得て『古代文化』の56卷11号(平成16年11月刊)を「韓国出土文字資料へのアプローチ」という特輯号に設定して、本科研のメンバーの論文を掲載した。田中「特輯『韓国出土文字資料へのアプローチ』にあたって」亀田「扶余『大唐』銘軒丸瓦の語るもの」吉井「扶蘇山城出土『曾昌七年』銘文字瓦をめぐって」田中「広州船里出土文字瓦銘文の解釈と意義」高「軒瓦に現れた文字-朝鮮時代銘文瓦の系譜-」申昌秀・李柱憲「韓国の古代木簡出土遺跡について-城山山城木簡の出土様相と意味-」である。ここでは、韓国における出土文字資料の調査および研究に対する現状を述べ、さらに個別具体的に、出土文字資料、特には文字瓦を使った研究を展開した。また木簡については、韓国側の共同研究者(調査の担当者でもあった)にその現状について整理してもらった。この具体例を通して、それぞれのテーマに関して、文字瓦などの出土資料のもつ、資料としての価値・意義が明らかになったと考える。またその活用に関する方法論としても利用してもらえると考える。田中の論文に即していえば、国家的な構造物である「船家」(造船施設もしくは停泊施設)を造営するに際して、周辺の郡県に対して瓦の製造を命じ、それが集められてその屋根に葺かれたものであることが確認でき、そのような国家的な施設の造営における管理・徴発・力役編成のありかたを追求することができた。また当時(9〜10世紀)における国家の地方支配に対する実態や意欲についても、これまでの資料では知り得ないことを明らかにできた。 こうした成果を前提にして、ますます出土文字資料の価値が認識されることを期待したい。
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Research Products
(7 results)