2002 Fiscal Year Annual Research Report
前方後円墳の築造規格からみた古墳時代の政治的変動の研究
Project/Area Number |
13410120
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岸本 直文 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80234219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 秀実 くらしき作陽大学, 食文化学部, 助教授 (40264577)
|
Keywords | 前方後円墳 / 佐紀古墳群 / 大王墓 / 玉手山古墳群 |
Research Abstract |
課題の第1である畿内の大型前方後円墳の変遷については、昨年度実施した桜井茶臼山古墳とメスリ山古墳の調査成果にもとづいて、見直し作業を行った。その結果、箸墓古墳にはじまる系列とは別に、後円部3段・前方部2段の別系列が存在し、それが前期において主系列と併存していることを確認した。 課題の第2である畿内の大型古墳群については、基本資料を収集し、これにもとづいて古墳時代における交代の過程を検討した。なお成案をえるには至っておらず、鍵となる奈良県佐紀古墳群の整理が不可欠であることを再認識した。前期末の佐紀古墳群の段階における築造規格として「佐紀陵山型」があるが、この規格を再検討するため、同形同大と考えられる大阪府岸和田市の摩湯山古墳の測量調査を実施した。これにもとづいて、中期の築造規格への推移を明確にすることができると考えている。 第3の課題である特定地域のケーススタディとしては、平成13年度に引き続き、河内地域の玉手山古墳群(大阪府柏原市)に加え、先の摩湯山古墳の所在する和泉地域、そして畿内周辺部の播磨地域の研究を進めた。玉手山古墳群では、7号墳の発掘調査を継続し、大王墓である行燈山古墳の相似墳であることを確かめた。引き続き、玉手山古墳群の調査を3号墳・1号墳について来年度以降実施し、歴代の大王墓の規範にもとづいて、各地の有力豪族が相似形の前方後円墳を築造することが、古墳時代において政治的関係を表示する重要な手段であったことを、具体的に証明することができると思われる。また、播磨地域においては、三木市愛宕山古墳の測量調査を実施し、この古墳が佐紀陵山型である可能性が高いことを確認した。これによって、播磨地域においても、前期前半・前期末・中期前半で、有力古墳群が交代する見通しをえることができた。
|
Research Products
(1 results)