2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国語普通話文法と方言文法の多様性と普遍性に関する類型論的・認知言語学的研究
Project/Area Number |
13410129
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
古川 裕 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90219105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20153207)
山崎 直樹 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30230402)
杉村 博文 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70108413)
楊 凱栄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00248543)
ラマール クリスティーン 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30240394)
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Keywords | 中国語普通話文法 / 中国語方言文法 / 言語類型論 / 認知言語学 / 対照言語学 / データベース |
Research Abstract |
今年度、本研究は現代中国語の標準語(普通話)と方言及び他の言語を研究対象として、以下のような作業を行った。 (1)現代中国語や機能語辞典として定評のある《現代漢語八百詞(増訂本)》(1999年、商務印書館)を例文資料用データベースとしてコンピュータ上で自在に活用できるようデジタル化する作業に着手した。 (2)認知言語学・言語類型諭・対照言語学などの分野における最近の研究動向を調査検討し、普通話文法および方言文法の理論的研究に対する解釈力を検討した。次のような個別の問題について考察を行い、それぞれ以下のような諸点を明らかにした。 ・中国語に顕著な意味的双方向性(起点指向と終点指向の並存)を指摘し、それが非対称的(終点優先)である理由を認知言語学的に解釈した。 ・判断型疑問詞疑問文の特性、及び"把"構文の目的語が"個"を伴う場合について理論言語学的に検討を加えた。 ・普通話の文法化に関する研究の一環として、"的"構文を取り上げ、その意味機能を「動作に対する区分限定」と特徴づけ、それを動機づける文法メカニズムを助詞"的"の機能拡張という観点から説明した。 ・普通話文法と方言文法の対照研究として、客家語における文末形式"在"を取り上げその文法機能を分析した。また、"了""得""倒"が文法化するメカニズムを歴史的(通時的)な面と方言との比較(共時的)との両面において論じた。 ・中国語と他言語との対照研究として、中国語のテンス・アスペクトを日本語・朝鮮語と対照し、"也"の数量強調機能を日本語の助詞「も」との対照の下に論じた。 ・中国語において名詞述語文が成立する要因を"分類"と"描写"という概念を導入して論じた。 (3)本研究代表者と分担者は日本(愛知)、中国(北京、上海)及びシンガポールに於いて国際シンポジウムに参加し、研究成果を発表した。また河北地方での方言調査も行った。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 古川 裕: "<起点>指向和<点>指向的不対称性及其 知解"世界漢語教学 世界漢語教学学会(北京). 2002年第3期. 49-58 (2002)
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[Publications] 杉村 博文: "代 特指疑 判断句"中国語文 中国社会科学院語言研究所(北京). 総386期. 14-21 (2002)
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[Publications] 杉村 博文: "代 "把"字句 "把" 的 量 "个""世界漢語教学 世界漢語教学学会(北京). 2002年第1期. 18-27 (2002)
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[Publications] 杉村 博文: "中国における中国語文法研究の動向"中国語学 日本中国語学会. 第249号. 267-284 (2002)
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[Publications] 山崎 直樹: "XMLによる文法研究論文の構造化 -論文を研究資料として十分に活用するために"漢字文献情報処理研究 漢字文献情報処理研究会. 第3号. 38-45 (2002)
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[Publications] 木村 英樹: ""的"の機能拡張 -事物限定から動作限定へ"現代中国語研究 朋友書店. 第4期. 1-13 (2002)
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[Publications] 木村 英樹: "テンス・アスペクトの比較対照 -日本語、朝鮮語、中国語"シリーズ言語科学:対照言語学 東京大学出版会. シリーズ第4巻. 125-159 (2002)
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[Publications] ラマール・クリスティーン: "客家話里表示"暫時VP〓"、"先VP再説"的句末形式"正""謝棟元主編 客家方言研究(第四届客方言研討会論文集)、曁南大学出版社(広州). 334-357 (2002)
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[Publications] ラマール・クリスティーン: "漢語裏連接趨向成分的形式"中国語文研究 2002年第1期、香港中文大学中国文化研究所. 総第13期. 26-44 (2002)
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[Publications] ラマール・クリスティーン: "助詞への道:漢語の"了"、"得"、"倒"の諸機能をめぐって"シリーズ言語学 認知言語学2:カテゴリー化 東京大学出版会. シリーズ第3巻. 185-215 (2002)
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[Publications] 楊 凱栄: "「も」と"也" -数量強調における相異を中心に"シリーズ言語学:対照言語学 東京大学出版会. シリーズ第4巻. 161-182 (2002)
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[Publications] 小野 秀樹: "中国語における"分類"と"描写" -"名詞述語文"を成立させる要因から"未明 神戸大学中文研究会. 第20号. 66-90 (2002)