2002 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀ドイツ文芸思潮におけるドイツ理念とヨーロッパ理念の相関関係の検証
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13410135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍛治 哲郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30135818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宗五 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10134404)
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
臼井 隆一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90092668)
西中村 浩 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80218172)
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
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Keywords | ドイツ理念 / ヨーロツパ理念 / ゲルマン中心主義 / ヨーロッパ中心主義 / カール・シュミット / ワイマール共和国 / キリスト教ヨーロッパ |
Research Abstract |
本研究の目的は、それ自体多様な歴史的内実を有するドイツ理念とヨーロッパ理念の相関関係という問題を、特に20世紀における展開を中心に、今日的視点で整理し直し、今日のヨーロッパ統合を見据える視点を確保することにある。 研究の2年目に当たる今年度は、ワイマール時代の言説に特に焦点を合わせて外部の研究者を招いたものを含めて5回の研究会を開いた。そのなかで、ゲルマン中心主義がなお勢力を保っていたとはいえ、ドイツ内部でもそうしたゲルマン中心主義、さらにはヨーロッパ中心主義をも越えようとする思想が出てきたことが確認された。また、ワイマール共和国、ナチズムを経て第2次世界大戦以後に至るまでドイツの思想史において一貫して重要なヨーロッパ公法思想を展開した国法学者カール・シュミットに中心を当てた研究会も学生・院政を交えて行なった。この研究会を通じて、シュミットの神話的関心が広域化する世界のなかで、とりわけ海洋化する世界、そしてスラヴ世界との対立の中で、キリスト教ヨーロッパの政治的自己認識を深めようとする志向と深く関わっていることが確認された。 10月には韓国のソウルで開催された東アジア4大学フォーラムの会議に本研究の参加者3人が出席し、韓国、中国、ベトナムのヨーロッパ(ドイツ)の研究者と東アジアにおけるヨーロッパ理念の意味についての意見の交換を行ない、あわせて韓国におけるこの領域の資料の調査を行なった。 なお、本年度の支出が消耗品の割合が大きくなったが、これは研究参加者共同の利用の便を考慮して、いくつかの資料をCD-ROMで購入したからである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 臼井 隆一郎: "資本と母権I レビヤタンとネメシス"ドイツ・ヨーロッパ研究室紀要. 第2号. 121-151 (2002)
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[Publications] 高橋 宗五: "Was hat "ein schwachsinniges feudalistische Stuck" gemacht?"東京大学大学院総合文化研究科紀要『ヨーロッパ研究』. 第2号. 100-120 (2003)
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[Publications] 足立 信彦: "カリブの人喰い人種-食人言説と相対性"クレオールのかたち カリブ地域文化研究(東京大学出版会). 175-210 (2002)
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[Publications] 高田 康成: "ポストモダン・ガール(韓国語訳)"21世紀(ISUソウル). 17号. 19-34 (2002)
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[Publications] エリス 俊子: "表象としての『亜細亜』"越境する想像力(モダニズムの越境2)(人文書院). 103-127 (2002)
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[Publications] 西中村 浩: "イデオロギーの言語態-ユートピアの言説と小説の言葉"シリーズ言語態5 社会の言語態(東京大学出版会). 187-210 (2002)