2002 Fiscal Year Annual Research Report
日韓における近代国際法受容過程の比較研究-21世紀の新しい国際法の構築に向けて-
Project/Area Number |
13420009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深町 朋子 福岡国際大学, 国際コミュニュケーション学部, 講師 (30310014)
明石 欽司 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (00288242)
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
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Keywords | 不平等条約 / 華夷思想 / 主権平等 / 日韓関係 / 領海 / 海洋法 |
Research Abstract |
前年度における、韓国における近代ヨーロッパ国際法の受容過程の検討を踏まえて、本年度においては、わが国における近代ヨーロッパ国際法の受容過程を、韓国におけるそれとの比較の観点から、探求した。とくに明治維新前後の時代、日清・日露戦争の時代、そして、日韓併合の時代、の三つに時代を区分し、それぞれの時代におけるわが国の近代ヨーロッパ国際法の受容の仕方を探求した。そのさい、わが国がアジアの国の一つとして、ヨーロッパ諸国との関係をどのように捉えたか、また、他のアジア諸国との関係をその中でどのように捉えたか、という点を軸に検討を進めた。とくに検討の中心に置いたテーマ、は、領海の幅員についてのわが国の実行である。明治3年の普仏戦争のさいの太政官布告を嚆矢として、英国、ロシア、それに中国との間のもろもろの事件処理にあたって、わが国が領海の幅員、さらには海洋法についての国際法をいかに受容し、それを適用していったかの過程を分析した。そのさい、日本外務省外交史料館に所蔵されている史料群を渉猟し、従来の研究では分析対象とされてこなかった各種の史料を用いた検討を行った。そのなかで、フランスやプロイセンの「指導」を受けながら作成した太政官布告についての問題性、また、その後のわが国の実行のなかで太政官布告を時限法と捉え、領海の幅員についての実定国内法は存在しないという立場をとっていたことを明らかにした。その研究の成果は、ハワイ大学韓国研究センターが主催して2003年7月23日-27日に行われる国際シンポジウムにおいて、研究代表者が発表する予定である。また、これと併せて、近代ヨーロッパ国際法の形成過程の再検討も実施した。とりわけ、ベルギーやオランダを根拠地として活躍する国際法史を専攻する研究者たちとの意見交換を行うとともに、史料館や大学図書館において資料収集を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 柳原正治: "主権平等と保護国-<有賀・立保護国諭争>を中心として-"開港期韓国における不平等条約の実態と朝鮮・大韓帝国の対応(Korea Foundation 2001年度共同研究プロジェクト研究成果報告書). 106-119 (2002)
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[Publications] 明石欽司: "19世紀における日本の国際法受容と日朝関係"開港期韓国における不平等条約の実態と朝鮮・大韓帝国の対応(Korea Foundation 2001年度共同研究プロジェクト研究成果報告書). 1-13 (2002)
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[Publications] 明石欽司: "ウェストファリア条約研究の現在---国際法史研究の一側面---"法学研究. 第75号. 29-55 (2002)
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[Publications] Masaharu Yanagihara: "East Asian and European Perspectives of International Law"Baden-Baden : Nomos(in printing).