2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域の国際環境問題に対処するための民事的協調体制の構築に向けた研究
Project/Area Number |
13420010
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
高杉 直 帝塚山大学, 法政策学部, 助教授 (60243747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 真里 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10314436)
多田 望 熊本大学, 法学部, 助教授 (40274683)
植松 真生 香川大学, 法学部, 助教授 (00294744)
樋爪 誠 立命館大学, 法学部, 助教授 (00308769)
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Keywords | アジア / 環境 / 法選択 / 裁判管轄 / 外国判決 / 国際協力 |
Research Abstract |
本年度は、まず原子力、油濁、その他の環境民事条約をはじめとする既存の統一民事法条約を検討した。その上で、これまでの研究の補充調査を行なうとともに、研究会その他の種々の場での議論・意見を参考としつつ、アジア地域の国際環境問題に対処するための民事的協調体制の構築に向けた最終提言をまとめた。この最終提言は、研究報告書として間もなく発行される予定である。 提言の骨子は、次の通りである。第一に、環境民事責任につき、諸国の国内実質法の統一が不可能である以上、法的確実性を確保するためにも準拠法選択規則の統一が必要である。その際には、外国許認可の効力、安全行動基準、親会社の責任、共同行為、保険契約の効力等に関する規定を置く必要がある。なお、実現可能な範囲で、実質法統一規定も置くべきである。第二に、環境汚染の被害者救済に関する手続法の統一も必要である。とくに裁判管轄規則の統一、各国における集団訴訟制度の創設、情報開示・証拠収集制度の充実・統一、外国判決の承認・執行等に関する規定の統一を図る必要がある。第三に、国際協力として、許認可の際の近隣国住民の手続参加、情報開示・証拠収集に関する協力、集団訴訟への関与、裁判外紛争解決手続の創設等が検討されるべきである。第四に基金や保険の強制なども検討すべきである。第五に、多国籍企業の規制についても検討が必要である。なお、以上の体制構築の際には、既存の国際条約との関係に留意すべきである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 植松 真生: "スイス国際私法における債権移転の準拠法"国際私法年報. 5号. 125-149 (2003)
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[Publications] 高杉 直: "米国の国際私法の現状と課題-製造物責任の準拠法問題を中心に-"国際私法年報. 5号. 21-62 (2004)
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[Publications] 高杉 直: "電子取引と国際民事紛争解決制度-欧州の動向を参考にした制度論的提言-"国際商取引学会年報. 5号. 46-62 (2003)
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[Publications] 多田 望: "国際的な原子力損害賠償に関する1997年の改正ウィーン条約と補完的補償条約について-地理的適用範囲と国際裁判管轄の観点から-"国際法外交雑誌. 101巻2号. 54-76 (2002)
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[Publications] 多田 望: "『原子力損害についての民事責任に関する改正ウィーン条約』と『原子力損害についての補完的補償に関する条約』の仮訳"熊本法学. 101号. 71-104 (2002)
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[Publications] 長田 真里: "ベルギー国際私法立法案について"国際私法年報. 4号. 122-146 (2003)
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[Publications] 長田 真里: "損害多発型不法行為事件における国際裁判管轄"『国際関係の多元的研究』大阪外国語大学国際関係講座. (2004)
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[Publications] 樋爪 誠: "国際知的財産法の体系"立命館大学人文科学研究所紀要. 82号. (2003)