2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の契約を巡る諸問題に関する比較法的総合的研究
Project/Area Number |
13420015
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
右近 健男 岡山大学, 法学部, 教授 (40078978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 寿夫 岡山大学, 法学部, 教授 (40190045)
今村 与一 岡山大学, 法学部, 教授 (30160063)
西原 諄 岡山大学, 法学部, 教授 (20045157)
木村 仁 岡山大学, 法学部, 助教授 (40298980)
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Keywords | 成年後見 / 任意後見契約 / 消費者契約 / 介護契約 |
Research Abstract |
1.高齢者契約をめぐる諸問題についての基礎理論研究のため、内外文献の収集、分析および外部講師による研究会を開催した。その研究会においてフランスの成年後見では、後見・保佐が柔軟性をもって設定、運用でき、また要保護者に家族がいない場合、公的機関が後見管理人となる点に利点があり、イギリス法では、財産管理と身上監護とが峻別されているという問題点が指摘された。ドイツ法では、本人に危険が差し迫っている場合に仮世話人を選任できる長所があり、またドイツ法でも要保護者の意思に反する事務処理がどのような場合にできるかが問題となっている。 2.高齢者契約をめぐる諸問題についての実態調査のため、東京都介護老人福祉施設モデル契約書のほか、神戸市モデル契約書、岡山の介護施設契約書を収集し、検討した。研究会では、実際の介護契約締結においては成年後見制度が利用されず、家族が本人名で契約してしまう問題点が指摘された。神戸市生活情報センターに対する聞き取り調査では、介護契約に関する相談が多く、特に介護サービスの質、取引条件、介護費用、介護事故に関する苦情が多いことが判明した。岡山家庭裁判所での聞き取り調査では、後見開始の審判が前年の42件から平成12年度の111件に増加し、平成13年度には身寄りのない本人のための市長申し立てが1件あり、成年後見人の報酬額が問題となりつつある。成年後見センター、リーガルサポートでの聞き取り調査によると、法人自身が後見人・後見監督人となる件数がすでに27件あって増加しており、本人の状況等が個人的対応により法人で処理することが望ましい場合に、法人後見等が利用されることが明らかとなった。 3.以上の基礎理論研究と実態調査を総合して検討するため、弁護士、司法書士、福祉施設関係者を含む共同研究会をほぼ月1回、計6回開催した。
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Research Products
(1 results)