2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の契約を巡る諸問題に関する比較法的総合的研究
Project/Area Number |
13420015
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
右近 健男 岡山大学, 法学部, 教授 (40078978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 寿夫 岡山大学, 法学部, 教授 (40190045)
今村 与一 岡山大学, 法学部, 教授 (30160063)
西原 淳 岡山大学, 法学部, 教授 (20045157)
木村 仁 岡山大学, 法学部, 助教授 (40298980)
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Keywords | 高齢者契約 / 成年後見 / 介護契約 |
Research Abstract |
高齢者契約をめぐる諸問題についての基礎理論研究のため内外文献の収集・分析をしたほか、わが国およびドイツでの資料収集・実態調査をした。介護契約書や介護トラブル事例を収集したほか、岡山家庭裁判所での調査では、平成14年度に後見を開始した審判の数は、前年より20%ほど増加し、家庭裁判所の事務量も負担となってきているということであった。 ミュンヘンの高齢者に対する調査では、以前は親には複数の子どもがいて、その子どもが親と同居して親を世話していたが、今は子どもも少なく別居するようになったので、老人ホームが必要になっている様子がわかった。その老人ホームも入居する老人が増えて、一人の介護職員が多数の老人の世話をしなければならなくなり、手がまわらない状況だということである。ミュンヘン大学の教授からは、ドイツ成年後見法には、同意留保の場合に世話人が事前に同意しているのに被世話人の行為無能力のため被世話人と相手方との契約が無効となる場合があること、また法定後見と任意後見の関係や被世話人の自由を制限する収容の要件、あるいは治療中止の要件などの問題点を教授された。ミュンヘンの裁判官からは、ドイツ成年後見法は1999年に世話人の報酬・費用償還の明確化などの改正がなされたが、被世話人の数が今年100万人を超え、裁判官が非常に忙しくなったこと、また世話人の質が問題となっていること、などの指摘があった。 以上の基礎理論研究と実態調査を総合して検討するため、弁護士・司法書士・福祉施設関係者を含む共同研究会を2ケ月に1回、計6回開催した。英米における信託の利用や持続的代理権授与制度を研究したほか、特に介護事故判例を収集・分析し、ボランティアが介護者であるとき誰が賠償責任を負担するか、高齢者の安全のためその自由を制限してよいか、緊急時に介護職員が医療行為をしてよいか、などの問題点を検討した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤田寿夫: "消費者契約法の解釈的課題"世紀転換期の法と政治(有斐閣). 205-225 (2002)
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[Publications] 藤田寿夫: "消費者契約の効力"ホーンブック民法IV・債権各論改訂版(北樹出版). (2003)
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[Publications] 木村 仁: "信託受益者の開示請求権について"法律時報. (掲載予定). (2003)