2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13420020
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
都丸 潤子 上智大学, 外国語学部, 助教授 (00252750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
簔原 俊洋 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40314455)
五百籏頭 眞 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10033747)
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Keywords | 国際社会復帰 / アジア復帰 / 日米関係 / 日英関係 / 2つの中国 / 国際連合 / 冷戦 / 1950年代 |
Research Abstract |
最終年度である本年度には、過去2年間の調査と意見交換にもとづき、各分担者は担当部分の分析結果を論文にまとめる作業に入った。8月28日から31日まで、英国ケンブリッジ大学トリニティ・コレッジにおいて、昨年度に続きイギリス人ゲスト・スピーカー2名の再参加も得て、日英の分担者共同研究者による最終会議を行い、各参加者の分析報告とそこでの討論・合議をもとに、1950年代の日本外交の全体像をまとめ、研究成果を公刊する準備にも着手した。 最終会議の結果、本研究の特徴である多国籍の研究者によるマルチ・アーカイバルで総合的な分析によって、1950年代の日本外交は、冷戦とアジアの脱植民地化、第三世界の連帯などを背景にした多様な拘束要因の中・日米関係のみならず、日ソ国交正常化、2つの中国への政策、イギリスの対アジア政策との協調・国連加盟・GATTの国際経済レジームやECAFEなどアジア中心の経済組織への参入など、相互に関連する複雑な政策選択の組み合わせによって織りなされたことが明確になった。その過程で、アジアの一員、東西の架け橋として国際復帰をめざしつつも、アジア諸国やイギリスの不信感に直面するという目本のジレンマの深さも浮き彫りとなった。また、水面下でのイシューどうしのつながり、日本の国内政治とのつながり、非公式ルートの活用、英米双方の対日政策の50年代半ばにおける転機、政府間の認識格差などをはじめとした、多数の新たな知見が得られた。 成果公刊については、メンバーとゲスト・スピーカーがそれぞれ論文を寄稿する形で、日米関係、日中関係と日英関係、国際組織への参加という3部分からなる計10章の単行本として、まずは英文で出版する計画であり、イギリスのラウトレッジ社に企画書を提出して交渉中であり、平成16年3月末に寄稿者の原稿も出揃い、編集作業に入る予定である。日本語でも同様の論文集の出版をしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大庭 三枝: "「東アジア」地域の展開と日本"日本国際問題研究所「東アジアコミュニティの形成と日ASEAN協力」研究会報告書. (2003)
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[Publications] ロバート・エルドリッヂ: "沖縄問題の起源-戦後日米関係における沖縄、1945-1952年"名古屋大学出版会. 364 (2003)
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[Publications] 都丸 潤子(北川勝彦編著の中の一章): "「バンドン会議と日英関係」イギリス帝国と20世紀-脱植民地化の時代"ミネルヴァ書房(近刊).