2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13430002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇仁 宏幸 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90268243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯谷 明徳 九州大学, 経済学研究院, 助教授 (60168284)
大田 一廣 阪南大学, 経済学部, 教授 (70185263)
八木 紀一郎 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30116511)
鍋島 直樹 富山大学, 経済学部, 助教授 (70251733)
坂口 明義 東北学院大学, 経済学部, 助教授 (90202085)
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Keywords | 経済制度 / 制度補完性 / 経済安定性 |
Research Abstract |
3回開催した研究会での報告と討論を通じて、貨幣・金融制度、国家・財政制度、企業・労使関係制度について各研究分担者が有する専門的知識の共有化を進めた。またとくに企業理論、雇用制度に詳しい専門家を招いて討論を行った。このような研究会と各自が行った分担研究を通じて次のようないくつかの進展がみられた。 80年代以降すすんだ、先進各国での制度改革の結果、市場を通じた調整の割合が高まり、制度を通じた調整の割合が低下した。しかし、制度改革の内容は国によって異なり、とくにヨーロッパ諸国は単に規制緩和だけでなく、特定の分野では規制強化も行われている。また、国家による一元的な規制制度を改め、地方自治体や様々なアソシエーションの参加する協議体に権限を委譲する動きもある。このような制度変化の多様性や階層性が、マクロ経済調整の安定性に影響を及ぼしていることがある程度明らかになった。 また、情報化、サービス化、グローバル化など長期的に進展する構造変化が、市場的調整と制度的調整の比重、各制度変化の方向、諸制度の補完性の程度に深く関わっていることも明らかになった。このような構造変化に対応する制度改革の方向についても、雇用制度などの分野に関して研究が進展した。 日本の90年代における経済停滞の要因についてもある程度研究が進んだ。外的環境の変化にたいして、従来の諸制度の変化が不十分あるいは不適切であることもひとつの要因である。とくに企業のイノベーションや事業改革を促進することに関わる諸制度に問題があることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 宇仁宏幸: "シャープにおける液晶ディスプレイ開発"中岡哲郎編著『戦後日本の技術形成』日本経済評論社. 95-125 (2002)
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[Publications] 八木紀一郎: "The development of marketeconomy and the formation of voice"GM.Hodgson,M.Ito and N.Yokokawa(ed.)Capitalism in Evoluliou,Edward Elgar. 48-59 (2001)
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[Publications] 大田一廣: "現代社会システム論への一視覚"社会経済システム(社会経済システム学会). 第20号. 122-127 (2001)
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[Publications] 磯谷明徳: "市場、制度そして行動をめぐって"政経学会雑誌(茨城大学). 第71号. 29-40 (2001)
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[Publications] 磯谷明徳: "The Incheasing Fluidity of Employment Re-examined"Distussion Paper Series,Faculty of Economics Kyusyu University. 2001-3. 1-47 (2001)
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[Publications] 磯谷明徳: "労働市場の流動化と雇用政策"九州大学大学院経済学研究院政策評価研究会偏差『政策分析2001』九州大学出版会. 143-169 (2001)
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[Publications] 坂口明義: "貨幣存在の観念的諸契機"東北学院大学論集(経済学). 第149号(未定). (2002)
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[Publications] 鍋島直樹: "国家・市場・権力へのエージェンシー理論的接近"経済理論学会年報. 第38集. 167-182 (2001)
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[Publications] 磯谷明徳: "知識・制度・組織能力-企業論の視点から"進化経済学会論集2002. (未定). (2002)
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[Publications] 宇仁宏幸: "デバイスのイノベーションと最終商品のイノベーション"進化経済学会論集2002. (未定). (2002)
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[Publications] 坂口明義: "現代貨幣論の構造"多賀出版. 271 (2001)
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[Publications] 鍋島直樹: "ケインズとカレツキ-ポストケインズ派経済学の源泉"名古屋大学出版会. 302 (2001)