2003 Fiscal Year Annual Research Report
IT関連産業における情報システム投資のミクロ・データ分析
Project/Area Number |
13430019
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鵜飼 康東 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70098101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 一幸 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00171273)
貞廣 彰 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (50333133)
伊藤 元重 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10128564)
渡邊 真治 大阪府立大学, 総合科学部, 専任講師 (80254449)
武田 浩一 法政大学, 経済学部, 助教授 (40328919)
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Keywords | IT投資 / IT生産性 / ミクロ・データ / 銀行業 / 公共サービス / 郵便事業 |
Research Abstract |
平成15年5月27日に海外共同研究者であるデール・W・ジョルゲンソン教授と関西大学において、研究代表者・鵜飼康東と研究分担者・渡邊真治の銀行業ミクロ・データ分析の共同論文、研究分担者・武田浩一の企業投資における協調ゲームの論文についての集中討論を行った。 鵜飼・渡邊論文は世界水準の独創的研究であるが、重要な欠陥を指摘された。第1に、ミクロ・データ分析で考慮されている変数が限られており、銀行業における情報投資の経済効果を理解する上で重要と考えられる変数が評価の対象となっていない。バブル崩壊以降、日本の銀行は不良債権の発生による金融制約にあった銀行が多いと考えられる。しかし、鵜飼・渡邊論文では、不良債権は各銀行の市場価値の純額を推計する場合の外生変数として処理されているだけであり、その影響の分析はなされていない。鵜飼・渡邊論文が発見した情報システム投資の高い収益率は、銀行業における情報システム投資の高い効率性ではなく、金融制約による投資不足を反映している可能性がある。第2に、パネル・データ分析において、企業の固定効果はコントロールされているが、年次別の経済情勢の変化がコントロールされていない。したがって、情報投資の効果は過大に推計されている可能性がある。この点についての改善を平成16年度に行うこととした。 武田論文は理論的に精密であるが、情報基盤整備が研究開発投資を活発にするという結論が、平成15年度にわれわれが開始した、インターネットサービスプロバイダ(ISP)の投資行動データと適合していないことが分かった。この点について武田モデルの修正を図る。平成15年度に、われわれは、郵送アンケート法、インタビューおよび電子メールアンケート法を用いて、ISP、郵便局、薬品産業と3つのIT関連産業の投資データを収集した。平成16年度に3編の論文に統計解析結果を掲載の予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鵜飼康東: "ビジネス方法特許をめぐる現代特許法の課題"RCSSディスカッションペーパーシリーズ. 14. 1-26 (2003)
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[Publications] 須田一幸: "新会計基準の設定が企業経営と経済システムに与えた影響に関する実証分析No.1"ディスクロージャー・フォーラム. 1. 18-64 (2003)
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[Publications] 須田一幸: "新会計基準の設定が企業経営と経済システムに与えた影響に関する実証分析No.2"ディスクロージャー・フォーラム. 2. 21-45 (2003)
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[Publications] 須田一幸: "会計情報の質の決定要因"企業会計. 55-1. 56-64 (2003)
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[Publications] 須田一幸: "法的規制で環境会計の情報開示を進めよ"エコノミスト. 81-62. 54-57 (2003)
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[Publications] 武田浩一: "Public Information, Private Information, and the Price of Debt in a Creditor Coordination Game with Large and Small Creditors"RCSSディスカッションペーパーシリーズ. 9. 1-29 (2003)