2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア開発における組織的知識創造理論実践に関する研究
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13430030
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 武稔 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (80293398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 晃也 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (50303342)
梅本 勝博 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (40114938)
野中 郁次郎 一橋大学, 国際企業戦略研究科, 教授 (30065437)
妹尾 大 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (90303346)
遠山 亮子 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (00303347)
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Keywords | ソフトウェア開発 / 組織的知識創造理論 / SECIモデル / バランスト・スコアカード / ソフトシステム方法論 / システム思考 |
Research Abstract |
ソフトウェア開発プロジェクトに関する研究課題を、主に組織的知識創造理論の観点と、その理論を応用したプロジェクト管理に関する観点に分割し、それぞれの課題について研究を実施した。組織的知識創造理論に関する研究では、まず状況論的アプローチについて考察した。同時に、弁証論的アプローチについて考察し、綜合力に関する昨年度の考察を基盤として、その理論研究をさらに進展させた。これらの理論の実践的解釈を明確にするため、医療機関および高齢者福祉機関での情報システムを利用した管理状況に関する調査および考察を実施し、ユーザ・ニーズの観点から組織的知識創造理論の観点からのソフトウェア開発プロジェクト管理を再認識した。また、昨年度の調査・分析研究をもとに、バランスト・スコアカード法を基幹とし、経営戦略に沿った情報システムの企画が重要であることを示した。本研究ではこれにより、情報システムの企画において実施していた従来の分析手法の複合的な利用法の弱点を補完できることを示した。さらに、ソフトシステム方法論と呼ばれるシステム方法論を、組織的知識創造プロセスおよびSECIモデルの観点から考察した。ここでソフトシステム方法論は知識創造のための支援方法論であり、それ自体がさらに知識そのものであるという仮説を導いた。特に、従来のソフトシステム方法論では暗黙知の重要性については指摘されていたものの形式的な議論に終始していた。本研究では、この議論に対して暗黙知の重要性を主張し、従来は全体性とフィードバックという概念で説明されていた「システム思考」が、「暗黙知を形式知に変換する」いわゆる表出化のツールであることを明確にした。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 妹尾大: "状況論的アプローチによるソフトウェア開発の考察"日本認知科学会「教育環境のデザイン」研究分科会研究報告. Vol.9・No.1. 1-6 (2002)
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[Publications] 妹尾大: "酒蔵組織の熟練についての考察"日本認知科学会「教育環境のデザイン」研究分科会研究報告. Vol.9・No.1(印刷中). (2002)
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[Publications] Nonaka, Ikujiro, Ryoko Toyama: "A firm as a dialectical being : towards a dynamic theory of a firm"Industrial and Corporate Change. Vol.11,No.5. 995-1009 (2002)
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[Publications] Nonaka, Ikujiro, Ryoko Toyama: "The Knowledge-Creating Theory Revisited : Knowledge Creation as Synthesizing Process"Knowledge Management Research & Practice. (Forthcoming).
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[Publications] 梅本勝博他: "高齢者福祉施設のナレッジ・マネジメント(1)ナレッジ・マネジメントとは何か 前編"介護施設管理. Vol.7,No.2. (2002)
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[Publications] 梅本勝博他: "高齢者福祉施設のナレッジ・マネジメント(2)ナレッジ・マネジメントとは何か 後編"介護施設管理. Vol.7,No.3. (2002)
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[Publications] 梅本勝博他: "高齢者福祉施設のナレッジ・マネジメント(3)事例に学ぶナレッジ・マネジメントの実践"介護施設管理. Vol.7,No.4. (2002)
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[Publications] 梅本勝博他: "高齢者福祉施設のナレッジ・マネジメント(4)実践への示唆"介護施設管理. Vol.7,No.5. (2003)
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[Publications] 梅本勝博他: "知的機動力のためのナレッジ・マネジメント"日本醸造協会誌. Vol.97,No.10. (2002)
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[Publications] Kaori Shinozaki, Akiya Nagata: "A Paradox of knowledge Management in the Case of Japan's Retail Company"International Journal of Information Technology and Management. VoL1, No.1/2. 1-8 (2002)
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[Publications] Wesley M.Cohen, Akira Goto, Akiya Nagata, Richard R.Nelson, John P.Walsh: "R&D Spillovers Patents and the Incentives to Innovate in Japan and the United States"Research Policy. Vol.31. 1349-1367 (2002)
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[Publications] 服部利幸, 吉田武稔: "戦略適合型情報システム構築に関する企画手法の提案とその発展的利用"経営会計研究. 第2巻,7月号. 29-42 (2002)
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[Publications] Taketoshi Yoshida: "Practice of soft systems methodology based on organizational knowledge-creation theory"Systems Theory and Practice in the Knowledge Age(Ragsdel, et al. (ed), Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York). 105-111 (2002)
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[Publications] 梅本勝博他: "医療福祉のナレッジ・マネジメント"日総研出版. 256 (2002)
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[Publications] 永田晃也編著: "価値創造システムとしての企業"学分社. 229 (2003)
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[Publications] 野中郁次郎, 泉田裕彦, 永田晃也編著: "知識国家論序説"東洋経済新報社. 319 (2003)