2001 Fiscal Year Annual Research Report
制御マルコフ連鎖における非加法型評価系とその数理ファイナンスへの応用
Project/Area Number |
13440036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩本 誠一 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (90037284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 正実 千葉大学, 理学部, 教授 (00041244)
中井 達 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (20145808)
時永 祥三 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30124134)
前園 宜彦 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (30173701)
川崎 英文 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (90161306)
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Keywords | 制御マルコフ連鎖 / 数理ファイナンス / 非加法型評価 / 動的評価 / 確率的最適化 / ポートフォリオ / 不変埋没原理 / 停止時刻・満期日 |
Research Abstract |
平成13年度は初年度として10月に追加的に採択が決定したことを受けて、年度の後半より本格的な研究に着手した。本研究は、研究代表者を中心として「非加法型評価系に対する確率的動的計画法」の成果を数理ファイナンス分野に適用しようとしている。 いわゆるポートフォリオ理論では平均・分散基準の確定的最適化を数理計画法によって行っているが、ここでは、数理ファイナンス分野おける新しい評価基準として単一評価クラスと複合評価クラスを導入して、その不確実性の下での動的最適化手法を提案している。とくに、リスクとリターンを確率変数そのものとして取り扱い、制御マルコフ連鎖上で分数型基準の条件つき期待値を再帰的に最適化している。分数(比)型評価は範囲、分散などと同じように典型的な複合評価であるが、他に、中央範囲、極値排除和などの新しい複合型基準を導入して、その確率的動的最適化を行っている。さらに、動的計画法を中心とした動学的最適化手法として、(1)全履歴法、(2)パラメトリック法、(3)マルコフ法、(4)多段確率決定樹表を開拓し、既存の最適化手法では解けない問題を提案し、これらの最適解を導いた。また、動的最適化手法をより分かりやすく、説得力あるものにするために、各種グラフィックス表不およびその開発をおこなった。 本研究によって、今年度は閾値確率制御問題が上述の多様な方法で解けることが明らかになった。とくに、閾値確率最大化問題の逆問題は数理ファイナンスにおけるバリュー・アト・リスクの最小化問題なることが分かり、バリュー・アト・リスクの最小化に新たに動的計画法・埋め込み法が適用できることになった。この二つの方法はこれまで確定的システムの最適化に多用されて成果を上げてきたが、本研究によって確率システム・あいまいシステムに対しても動的計画法・埋め込み法が適用できることが判明した。したがって、本来不確実性の下で変動するポートフォリオシステムの最適化方法が多様・多彩になってきた。これらはまさしく本研究の成果である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 岩本 誠一: "確率最適化における過去集積値と未来閾値について"京大数理研講究録 「不確実モデルによる動的計画理論の課題とその展望」. 1207. 79-100 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "Recursive method in stochastic optimization under compound criteria"Advances in Mathematical Economics. 3. 63-82 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "A class of dual fuzzy dynamic programs"Proceedings of "The Seventh BELLMAN CONTINUUM ; Appl. Math. Comp.". 120・1/3. 91-108 (2001)
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[Publications] 岩本 誠一: "最大値過程について"京大数理研講究録 「不確実モデルによる動的計画理論の課題とその展望」. 1207. 101-113 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "Fuzzy decision-making under threshold membership criterion"Frontiers in Artificial Intelligence and Applications. 69. 797-801 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "On Markov policies for minimax decision processes"J. Math. Anal. Appl. 253・1. 58-78 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "Fuzzy decision-making through three dynamic programming approaches"International Journal of Fuzzy Systems. 3・4. 520-526 (2001)
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[Publications] 岩本 誠一: "ベルマンとザデーの間で"数理経済学研究センター会報. 7. 4-7 (2001)
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[Publications] 岩本 誠一: "ファジィ動的計画法Fuzzy Dynamic Programming"ORシンポジュウム『ファジィOR』. 46. 87-104 (2001)
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[Publications] Seiichi Iwamoto: "Controlled Markov chains with utility functions"Markov Processes and Controlled Markov Chains, Chapter 8. 135-148 (2001)
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[Publications] Toshiharu Fujita: "An optimistic decision-making in fuzzy environment"Proceedings of "The Seventh BELLMAN CONTINUUM ; Appl. Math. Comp". 120・1/3. 123-137 (2001)
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[Publications] (共編)岩本誠一: "ファジィOR"朝倉書店(日本OR学会編). 234 (2001)