2004 Fiscal Year Annual Research Report
制御マルコフ連鎖における非加法型評価系とその数理ファイナンスへの応用
Project/Area Number |
13440036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩本 誠一 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (90037284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時永 祥三 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30124134)
中井 達 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (20145808)
安田 正実 千葉大学, 理学部, 教授 (00041244)
川崎 英文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (90161306)
藤田 敏治 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60295003)
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Keywords | 制御マルコフ連鎖 / 非加法型評価 / 確率的最適化 / ポートフォリオ / 数理ファイナンス / 停止時刻・日 / 動的評価 / 不変埋没原理 |
Research Abstract |
最終の第4年度に当たる今平成16年度は本研究の最終目標を遂行するとともに、研究全体の総括を行った。 従来までのマルコフ決定過程の研究では、(a)加法型(線形)評価としてもっぱら現在割引き価値を評価基準として最適化を当然のように現在の状態のみに依存する(1)マルコフ政策クラス上で行ってきた。しかし、本研究はこの既成概念を打破するところに研究の基本視点を置いている。まず、評価系を(b)非加法型(非線形)と極めて広く設定し、次に最適化する政策クラスをマルコフ型を含む全履歴に依存する(2)原始政策クラス、現時点までの集積利得にも依存する(3)拡大マルコフ政策クラスなどを新たに導入している。第3年度までの研究成果により、今平成16年度は評価系をさらに細分して全体を概観する見直しを行った。具体的には、評価系を(A)単一評価系と(B)複合評価系に大別し、(A)単一評価系の中をさらに(A-1)加法型、(A-2)乗法型、(A-3)最大型、(A-4)最小型、(A-5)終端型、(B)複合評価系を(B-1)範囲型、(B-2)分散型、(B-3)比型、(B-4)極値排除和型、(B-5)中央範囲型にそれぞれ分けて、その最適化を行い、上記3つの政策クラスの中で最適政策を具体的に求めた。その際、本研究によって、所定の1つの最適化に複数の方法があることが判明した。それらは具体的には(i)全履歴法、(ii)パラメトリック法、(iii)拡大マルコフ法、(iv)多段確率決定樹表である。 今最終年度の研究によって、過去3年間取り組んできた多様な評価系の期待値・閾値確率最適化に上記のような多様な方法が実際に役立つことが明らかになった。これらの方法はこれまで確定的システムの最適化に多用されて成果を上げてきたが、本研究によって確率システム・あいまいシステムに対しても動的計画法・埋め込み法が適用できることが判明した。特に、数理ファイナンスにおけるオプションの評価に本研究で開発した多様な最適化手法が適用可能であることが判明した。それはオプションの動的価格付け(dynamic pricing)であり、再帰的評価(recursive evaluation)である。さらに、満期日変動型などの新型オプションの開発と評価も行った。したがって、不確実性の下で変動するポートフォリオシステムの最適化方法・評価方法が多様かつ多彩になってきた。これらはまさしく本研究の成果である。
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Research Products
(13 results)