2003 Fiscal Year Annual Research Report
ディラック粒子と量子電磁場の相互作用系の数学的解析
Project/Area Number |
13440039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80134807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昭彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50168431)
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00128597)
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Keywords | フォック空間 / ディラック作用素 / ディラック-マクスウェル作用素 / 束縛の強化 / 基底状態 / 非相対論的QED / 量子場 / パウリーフィールツモデル |
Research Abstract |
1.ディラック粒子と量子電磁場が相互作用を行う系のハニルトニアンはディラック-マクスウェル(DM)作用素と呼ばれる無限次元のディラック-シュレーディンガー型作用素で与えられる.この作用素は相対論的であるので,真空中の光速cをパラメーターとして含む.発見法的には,cを無限大にとる極限は何らかの意味で非相対論的な系を記述するであろうと予想される.すなわち,それは,非相対論的な量子的粒子(ディラック粒子の非相対論的版)と量子電磁場が相互作用を行う系である.この系は,非相対論的量子電磁気学が対象とする系であり,そのハミルトニアンはパウリーフィールツハミルトニアンと呼ばれる,無限次元のシュレーディンガー作用素で与えられる。申請者は,この予想を数学的に解析し,DM作用素の非相対論的極限の数学的に厳密な意味を与えた.この証明のために,対称作用素の自己共役拡大のある理論を創始したことも副産物のひとつである. 2.量子的粒子(ディラック粒子を含む)と量子場が相互作用を行う系のある抽象版として,一般化されたスピン-ボソンモデル(GSBモデルと略)がある.無摂動系が基底状態をもたない場合でも摂動系が基底状態をもつ場合には,系は束縛の強化をもつという.申請者はGSBモデルについて,適切な一般的仮定のもとで,束縛の強化の存在を証明した.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Asao Arai: "Non-relativistic limit of a Dirac-Maxwell operator in relativistic quantum electrodynamics"Reviews in Mathematical Physics. 15. 245-270 (2003)
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[Publications] Asao Arai: "Enhanced binding in a general class of quantum field models"Reviews in Mathematical Physics. 15. 387-423 (2003)
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[Publications] Asao Arai: "Enhanced binding in models of nonrelativistic quantum field theory"A Garden of Quanta. 197-207 (2003)
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[Publications] A.Kishimoto: "Non-commutative shifts and crossed products"Journal of Functional Analysis. 200. 281-300 (2003)
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[Publications] A.Inoue: "On the worst conditional expectation"J.Math.Anal.Appl.. 286. 237-247 (2003)