2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13440045
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 敏浩 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00172354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鹿 健一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70183225)
佐藤 宏樹 静岡大学, 理学部, 教授 (40022222)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
藤井 道彦 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60254231)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
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Keywords | リーマン面 / クライン群 / 双曲幾何 / 低次元多様体 / 射影構造 |
Research Abstract |
リーマン面上の射影構造の展開写像のホロノミーを用いることによって、リーマン面上の射影構造と曲面群の複素特殊線形群SL(2,C)への表現の共役類との間に1対1対応がつく。とくに興味深いのは曲面群のSL(2,C)への忠実かつ離散な表現の場合である。このとき表現の像は3次元双曲空間に真性不連続に作用するクライン群であり、位相的には曲面と実数の開区間との直積である多様体を一意化する。 W.Thurston等によって示された円周上の曲面束の構造を持つ3次元多様体は、そのモノドロミーが擬アノソフ写像であるとき完備双曲構造を許容するという結果がある。このような構造を持つ双曲3次元多様体を具体的に求めるために、その無限巡回被覆空間を一意化するクライン群を曲面群のSL(2,C)表現空間から見つけることになるが、Thurston等の結果により、擬アノソフ写像の作用の不動点を探す問題に帰着される。 当研究の目的は、この方法に適した座標系をこの空間に導入することであった。R.C.Pennerによって穴あき曲面群のフックス群表現空間上の座標で、それらを用いることによって写像類が有理写像として表現できるものの存在が知られていたが、我々はこの座標を複素化して、曲面群の穴あき曲面の基本群の忠実なSL(2,C)表現の空間の座標に拡張し、写像類群の有理写像表現を得ることができた。写像類の不動点は代数的な計算によって求めることができる。これによりコンピュータの援用とSL(2,C)の部分群の離散判定法により、円周上の曲面束の構造を持つ双曲3次元多様体の分類が今後進展することが期待される。 上記の結果を2003年度日本数学会年会の函数論分科会での特別講演やフィンランド・ユヴァスキュラで開催されたネヴァンリンナ・コロキウムなどで発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakanishi, T., M.Naatanen: "Complexification of lambda length as parameter for SL(2,C) representation space of punctured surface groups"Journal of London Mathematical Society. (発表予定).
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[Publications] Nakanishi, T., M.Naatanen: "穴あき曲面群のSL(2,C)表現とトレース恒等式"京都大学数理解析研究所講究録「双曲空間に関連する研究とその展望2」. 1329. 72-83 (2003)
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[Publications] Fujikawa, E., H.Shiga, M.Taniguchi: "On the action of mapping class group for Riemann surfaces of infinite type"Journal of Mathematical Society of Japan. (発表予定).
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[Publications] Fujii, M., H.Ochiai: "An algorithm for solving linear ordinary differential equations of Fuchsian type with three singular points"Interdisciplinary Information Sciences. 9. 189-200 (2003)
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[Publications] Sato, Hiroki, C.Li, M.Ouchi: "Jorgensen groups of parabolic type II"Osaka Journal of Mathematics. (発表予定). (2004)
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[Publications] Komori, Yohei: "On the boundary of the Earle slice for punctured torus groups"Proceedings of Minsky workshop (September 2001), Kleinian groups and hyperbolic 3-manifolds, London Math.Soc.. 299. (2003)