2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440047
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
木坂 正史 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (70244671)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
松崎 克彦 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (80222298)
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Keywords | 複素力学系 / 整函数 / 表現空間 |
Research Abstract |
平成14年には代表者谷口雅彦は、13年度の具体的成果を踏まえ、整函数の新たな理解のための一般論的枠組みの構築を試みることにした。具体的には、クライン群におけるケーリーグラフや多項式の力学系的構造を被覆構造から記述するといったサリバンの辞書における概念・手法を、整函数の研究に敷衍し「配置樹木」という組み合わせ論的モデルを発明し理論的な整備を進めた。その初期の概念により「構造有限性」という極めて重要な函数族を発見するに至ったのであったが、この族こそ、それまでの解決困難な楽天的な予想とは異なり、上記の有限生成クライン群と有理函数の与える力学系の類似性を間違いなく考えうるもの、すなわち同じサリバンの辞書の項目、として辞書自身の補強が可能になる族であるという予想を越えた発見をもたらしたのである。「配置樹木」の理論的精密化を応用することにより、整函数の被覆構造の組み合わせ論的理解は飛躍的に深まったといえる。なお分担者の木坂氏によっても整函数の力学系的性質がいくつか明らかにされたが、本研究において貴重な協力者であった静岡大学の奥山佑介氏もまた、構造有限な整函数の族にたいして、多項式の場合に以前奥山氏自身により得られた成果の拡張を試みて、最近それに成功した。さらに、ごく最近になって谷口は、分岐被覆構造の表現空間としてのフルビッツ空間の重要性に着目し、ベルの予想を肯定的に解決することに成功したことも特記に値する成果である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Taniguchi: "Size of the Julia set of a structurally finite trauscendental entire function"Math. Proc. Camb. Phil. Soc.. (to appear).
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[Publications] M.Taniguchi: "Synthetic deformation space of an entire function"Contemporary Math.. 303. 107-136 (2002)
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[Publications] M.Jeong: "Bell representations of finitely connected planar domains"Proc. AMS. (to appear).
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[Publications] M.Jeong: "Algebraic kernel functions and representation of planar domains"Proc. KJC. (to appear).
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[Publications] T.Gedeon: "Chaotic solutions in slowly varying perturbations of Hamiltonian systems"J. Dynam. Diff. Eq.. 14-1. 63-84 (2002)
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[Publications] K.Matsuzaki: "Simply connected domains on a hyperbolic surface"New Zealand J. Math.. (to appear).
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[Publications] T.ニーダム: "ウィジュアル複素解析"培風館. 662 (2002)