2003 Fiscal Year Annual Research Report
数理科学に現れる非線形偏微分方程式の数学解析とその応用
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13440053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40114516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (70294139)
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Keywords | 量子化する爆発機構 / 自己相互作用粒子系 / 送化性方程式 / 自己双対ゲージ場理論 / SU(3)戸田システム / Chern-Simons-Higgs理論 / 変分法 / 腫瘍形成方程式 |
Research Abstract |
最初に記すべきことは、自己相互作用粒子系の非平衡平均場における量子化する爆発機構の解明を完成させたことである。これは平衡状態が非局所項をもつ固有値問題として定式化されることにより、楕円型方程式のレベルでの解の特異極限の分類から示唆された問題で、宮崎大学工学部仙葉隆教授の協力のもとで代表者が数年にわたって取り組んできたものであるが、後ろ向きにリスケーリングすることによって得られる全空間の方程式に2次モーメントの方法を適用し、更に前向きなスケーリングに対する不変性を適用することによって、集中質量の量子化がおこることを数学的に証明することができたものである。残された問題はタイプIの爆発点が存在するかどうかであり、もし実在するとすればKuffmanの意味で創発的であることが確認できた。このことをさらに解明するために、富山大学教育学部齊藤宣一助教授の協力のもとに、質量保存、自由エネルギーの減衰、正値性を再現する非平衡状態の数値解法スキームの開発を行って、数値シミュレーションを試みた。結果はタイプIの爆発点の実在を示唆するものであった。次いで、この間題の平衡状態が自己双対ゲージ場理論における非線形問題と類似の数式で表現され、超伝導や紐理論など現代物理学の中心的な対象と関わることに注目し、韓国、台湾の研究者と交流してこの分野の研究を開始することとした。爆発機構の量子化、変分構造など共通する数学的構造を駆使するとともに、送化性方程式の研究から得られた双対変分原理という新しい方法を用い、木更津高専大塚浩史講師の協力の下で、まず退化する係数をもつ場合の爆発機構の解明、とりわけ質量のシフトと爆発点の位置の決定も含めた特異極限の分類を完成させた。次にソウル国立大学のD.Chae助教授にも参加してもらい、この方法をSU(3)の戸田システムに適用し、変分法を用いて単独の場合にDing-Jost-Lin-Wangが示したような、Morse指数2の解の存在を示すことに成功した。また高橋太氏の協力のもとにChern-Simons-Higgs方程式の周期解の構成について、抽象Fredholm理論を用いてNolascoの議論を正当化することに成功した。係数非退化の単独方程式では写像度の計算などこの方面は深く研究されており、これらの先駆的な仕事によって今後の研究発展の契機を与えたものと考えているが、一方で物理的に意味のある新しい問題の線形化作用素の非退化とRobin関数の関係など、別の観点からの研究も必要と考えて院生とともに取り組んでいる。また、自己相互作用粒子系の研究から得られた方法論と関わる研究領域として、場のでき方の影響について藤田保健衛生大学衛生学部久保明達教授と、腫瘍形成の数理モデル方程式の研究を行い、非局所項をもつ放物型方程式についての研究を開始した。今ひとつは、非線形量子力学のストーリを支える双対変分原理によって、定常解の安定性に関する議論であって、近畿大学工学部伊藤昭夫講師、佐賀大学理工学部小林孝行助教授とそれぞれ、相分離方程式系、自己重力粒子の平均場方程式について研究を行った。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] A Kubo: "Asymptotic behavior of the solution to a parabolic-ODE system modeling tumour growth"Differential and Integral Equations. (発表予定).
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[Publications] T.Suzuki: "Existence of the non-topological condensate in self-dual Chern-Simons gauge theory"Advances in Differential Equations. (発表予定).
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[Publications] T.Miyasita: "Non-local Gel'fand problem in higher dimension"Banch Center Publications. (発表予定).
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[Publications] T.Suzuki: "Non-topological condensates in self-dual Chern-Simons gauge theory"Banch Center Publications. (発表予定).
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[Publications] T.Senba: "Chemotactic collapse of radial solutions to J\"ager-Luckhaus system"Advances in Mathematical Science and Applications. 14(発表予定). (2004)
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[Publications] Y.Naito: "Self-similar solutions to a nonlinear parabolic-elliptic system"Taiwanise Journal of Mathematics. (発表予定).
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[Publications] T.Suzuki: "Energy Transport problem for self-gravitating particles"Taiwanise Journal of Mathematics. (発表予定).
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[Publications] T.Kobayashi: "Interface regularity for Maxwell and Stokes systems"Osaka Journal of Mathematics. 40. 925-944 (2003)
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[Publications] T.Suzuki: "Mass normalization of collapses in the theory of self-interacting particles"Advances in Mathematical Science and Applications. 13. 611-623 (2003)
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[Publications] T.Suzuki: "Mass Quantization of the non-equilibrium mean field to self-interacting particles"Dynamics of Continuous, Discrete and Impulsive Systems. 10. 693-720 (2003)
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[Publications] A.Kubo: "Study on the integral equation arising in electroencephalography"Advances in Mathematical Science and Applications. 13. 273-285 (2003)
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[Publications] H.Ohtsuka: "Palais-Smale sequence relative to the Trudinger-Moser inequality"Calculus of Variations. 17. 787-820 (2003)
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[Publications] T.Senba: "Blowup behavior of solutions to rescaled J\"ager-Luckhaus system"Advances in differential Equations. 8. 787-820 (2003)
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[Publications] T.Tsuchiya: "Finite element approximation of $H$-surfaces"Mathematics Computation. 72. 607-617 (2003)
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[Publications] T.Senba: "Applied Analysis : Mathematical Methods in National Science"Imperial Collage press(発表予定). 370