2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 利明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80251601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 義之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50334511)
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Keywords | スピン / 陽子 / 中性子 / クォーク / 電子散乱 / 素粒子 / 構造関数 / グルーオン |
Research Abstract |
本研究の目的は,陽子や中性子のスピン1/2が,クォークやグルーオンからどのように構成されているかを解明することにある。素粒子物理の中でも,量子色力学の実験的研究である。本年度は,まずデータ解析と論文の製作に多くの力を注いだ。ドイツ・ハンブルクのDESY研究所で得られた電子-核子偏極深非弾性散乱のデータは,東工大にあるデータ解析の拠点で解析を行なった。その結果,裏面に示すような物理の結果を得ることができた。特に,ここ数年来開発してきたリングイメージチェレンコフ検出器が順調に稼動してデータが取れたので,粒子識別の能力が上がり、K中間子の物理を議論することが可能になった。更に,本年度は,従来の縦偏極の核子標的に替えて横偏極の核子標的をすえつけて実験を始めることができた。これにより,ヘリシティ分布と同様に重要なtransversity分布(横分布)をクォークについて決定することができる。核子のスピン構造研究において新しい分野を拓くことになる。この実験ではすでに縦偏極の標的において大きなスピン非対称度が観測されていて,フラグメンテーション過程には,この横分布検証に必要なカイラル奇の性質があることがわかっている。最終的に求めたいクォークの横分布は,今回の横偏極標的のデータによって世界で初めて求められる。このほかにも,リングイメージチェレンコフ検出器の粒子識別の性質をいかして非偏極標的でのデータもとり,解析の結果を論文として発表することができた。来年度への計画・試行も行なった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Airapetian et al.: "Single-Spin Azimuthal Asymmetry in Exclusive Electroproduction on π^+ Mesons"Phys.Lett.B. 535. 85-92 (2002)
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[Publications] N.Apokov et al.: "The HERMES Dual-Radiator Ring Imaging Cerenkov Detector"Nucl.Instrum.Methods A. 479. 511-530 (2002)
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[Publications] 柴田 利明: "「陽子と中性子のスピンの起源」をさぐる"学術月報. 55. 49-53 (2002)
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[Publications] T.-A.Shibata: "Recent Results on Spin Structure of the Nucle on from HERMES"Proc. RIKEN Winter School. 259-278 (2002)