2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440076
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青木 健一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (00150912)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 治彦 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40192653)
鈴木 恒雄 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (60019502)
出渕 卓 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (60324068)
|
Keywords | 非摂動 / くりこみ群 / カイラル対称性 / ゲージ理論 / トンネル効果 / 自発的対称性の破れ / 有効相互作用 / 相構造 |
Research Abstract |
カイラル対称性の破れは自発的な対称性の破れの典型的な例であるが、非摂動的な問題であるために、正確に扱うことが困難である。そこで、自由度を落として、1次元の理論で考察する。1次元の理論においては、一般に自発的対称性の破れは起こらないことが知られている。そのため、自発的対称性の破れについての知見は得られないと考えられていた。しかし、我々は1次元のいわゆる2重井戸ポテンシャル系を詳しく調べることによって、事実上、自発的対称性の破れのある系の有限体積での状況に酷以した状況が発生していることを示した。その過程で、有効ポテンシャルを計算し、有効質量を評価することによって、従来議論されていなかった、有効質量とエネルギーギャップの新しい関係式を見出し、これを、いくつかの計算可能なポテンシャルに対し評価し、新しい関係式の有効性を確認した。これらの結果は、自発的対称性の破れのある系の臨界現象の解析に役立つものである。 QCDのカイラル対称性の破れは、いわゆる0温度、0密度で起こっている現象であるが、近年の実験的な状況の進展によって、有限温度、有限密度での実験が可能となり、宇宙初期や星の終末期での状況とあわせて、一般の温度や密度でのQCDの相構造が大きな物理的興味をもたれている。相構造としては、カイラル対称性や、カラー対称性がクォークの2体演算子によって自発的に破れることが想定され、いろいろな破れ方が議論されている。QCDの非摂動的な物理に対しては、格子ゲージ理論のシミュレーションが決定的な結果を出し続けているが、有限密度系に対しては、その化学ポテンシャルをうまく扱うことができないために、シミュレーションによる評価は非常に困難になっている。従って、この領域でのカイラル対称性、カラー対称性の相構造について、他のアプローチが強く望まれている。我々は、非摂動くりこみ群の方法を有限密度、有限温度に対応させ、更に、いわゆる平均場近似を越えるための計算方法を準備してきた。今年度は、基礎的な準備が整った段階であり、本格的な計算は次年度以降の新たな研究プロジェクトに引き継がれることになる。
|
Research Products
(6 results)