2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440087
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
川村 静児 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (40301725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 利孝 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (90182485)
新井 宏二 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (50321584)
高橋 竜太郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60270451)
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 帯域可変型干渉計 |
Research Abstract |
重力波は、アインシュタインの一般相対性理論によりその存在を予言された光速で伝わる時空のひずみであるが、未だ直接検出はなされていない。これは重力波と物質の相互作用が極めて小さいためであり、重力波を検出するためには、重力波によって引き起こされる物質間の距離の変化を、極めて高い感度で測定する必要がある。これには、大型のレーザー干渉計を用いるのが最も有望だと考えられており、現在日本のTAMA300をはじめ、世界各地で大型重力波検出器の建設が行なわれている。それらに用いられる検出器は、主としてパワー・リサイクリング法を用いた広帯域型干渉計を基本設計としている。しかしながら、将来の重力波天文学の創成にとっては、ある帯域内で感度を高め、しかもその帯域を自由に変えることができる、いわゆる帯域可変型重力波アンテナの実現が必須と考えられている。この帯域可変型干渉計の開発を行なうことが本研究の目的である。 平成13年度の最大の成果は、世界で始めてつり下げられたミラーを用いて帯域可変型干渉計の動作に成功したことである。帯域可変型干渉計は非常に複雑な制御を必要とするため、これまで諸外国で行なわれてきた実験は全て固定鏡を用いたテーブルトップ実験であった。しかしこれでは実際の重力波検出器におけるつり下げられた鏡との整合性が問題であった。そこで我々は、真空中で超小型のサスペンションシステムを導入し、より現実の重力波検出器に近いかたちで実験を行なってきたが、今回ついに帯域可変型干渉計の動作に成功した。 また諸外国で用いられている複数の位相変調を用いた干渉計の信号取得法の複雑さを回避するため、我々は単一変調方式で3倍波復調を用いた信号取得法を考案してきたが、平成13年度には実際にこの方式を使った制御信号を用いて帯域可変型干渉計を動かすことに成功した。さらに、この信号取得方式により干渉計の動作が著しく安定になることも併せて確認した。 これらの研究により帯域可変型干渉計の開発の第一段階は完了したと考えられる。
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