2004 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの微細技術への応用と共鳴ラマン分光
Project/Area Number |
13440091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 理一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00178518)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 共鳴ラマン分光 / 電子格子相互作用 / 発光 |
Research Abstract |
基盤研究Bの最終年度として、共鳴ラマン分光強度の計算ができるようになり、実験との比較が各種できるようになった。 (1)電子格子相互作用行列を計算するプログラムを開発して、ラマン強度を励起光エネルギーの関数として計算できるようになった。これでナノチューブのラマン強度における数々の問題を解決した。Phys.Rev.他に発表した。 (2)従来のタイトバインディング計算で実験を再現することができなかった、半径の小さなナノチューブの電子状態に関しても、曲率の効果を取り入れた拡張対とバインディング計算のプログラムを開発した。Appl.Phys.Lett.他に発表した。 (3)励起した電子のフォノンの緩和時間を、電子格子相互作用行列を用いて計算した。この結果と、実験で(6,5)ナノチューブだけを精製した試料で観測された発光スペクトルにおける特殊な信号を比較し、電子の緩和現象を直接同定することに成功した。Chem.Phys.Lett.他に発表した。 (4)二重共鳴、および一次の共鳴ラマンスペクトル強度を計算するプログラムができ強度の相対値、また二重共鳴でのフォノンの同定などを理論的にできるようになった。現在論文を作成中である。 (5)半導体ナノチューブの発光スペクトルを、拡張タイトバインディング法だけだと励起子などの多体効果を考慮して、エネルギー精度10meVまで実験を再現することができるようになった。 発光と共鳴ラマン分光のこのような理論的な定量的な評価は、単に基礎的な物性物理を理解するだけでなく、応用上も試料評価を正確にできるという意味で非常に重要である。
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Research Products
(18 results)