Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵山 恒臣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50126025)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
纐纈 一起 東京大学, 地震研究所, 助教授 (90134634)
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
平林 順一 東京工業大学, 火山流体研究センター, 教授 (30114888)
|
Research Abstract |
2000年7〜8月の三宅島の噴火と山頂陥没の進行と共に観測されたパルス幅50秒の長周期地震波に先行して,特異な時系列を持つ相似地震群が観測された.また,2000年噴火の初期に,周期2.5秒並びに5秒が卓越する特異な長周期微動が観測された.これらの特異な地震動の発生時系列,震源,メカニズムについて解析を進めた. 10点規模のGPS連続観測を2000年6月から2002年4月まで継続し,2002年12月に3点に縮小した.これらの観測から,2000年6月26日に始まった三宅島西方へのダイク貫入に伴う地殻変動の詳細を明らかにし,9以降の全島的な収縮は,マグマからの大量ガス放出が原因であることを指摘した. 2001年7月から絶対重力の連続観測を世界に先駆けて実施した.その結果,2001年11-12月の火映現象に先立って重力値が増加することを見いだした.これは,火道内をマグマが上昇したと解釈できる.火山ガスの放出が減少をはじめた2002年5月以降は,全島的に重力増加を見いだし,地下水層の回復と関連付けられることを示した. 三宅島の全磁力観測を継続した.その結果,2000年9月〜2001年7月まで断続的に上昇していた火口直下の温度が,2002年7月以降低下に転じ,火山ガス放出の減少と対応することを見いだした. 火山ガス放出量及び化学組成,噴気温度観測などについて観測を実施した.また,火口底近傍にパイプを下ろし,火山ガスの連続採取も行った.火山ガスの化学組成からは,火山活動の大きな変化は認められないが,火山ガス放出量は2002年7月以降減少し,同時期に噴気温度も低下に転じた.これらの現象は,塩化水素/二酸化硫黄比に大きな変化がないことから,火道周辺への地下水の影響が大きくなり,二酸化硫黄が地下水に吸収されたことでは説明できず,約2年にわたる大量の火山ガス放出活動でマグマ中の揮発性成分が少なくなったことが主因と考えられる.火口底近傍でのガス観測では,設置したガス採取用パイプや電源が強風等で破損したこともあり,長期間のデータは得られていないが、山麓等に較べ高濃度の火山ガスが観測されている.今後,活動の推移を予測するためのデータが得られるものと期待される. 2000年以来噴火活動が継続している三宅島において,火口付近の噴出物堆積状況,噴煙活動の状況などについて上空からの観察を続けた.また,2000年噴出物について火山地質学・岩石学的検討を継続して行い,8月18日や29日の噴火のダイナミクスなどについての研究を行った.特に,8月中旬以降の山頂噴火噴出物の化学組成から,1983年以前の活動とは異なる組成のマグマが関与していることを見いだした.
|