2002 Fiscal Year Annual Research Report
地震性破壊に起因する岩石―流体反応の解析―断層帯の物質枠組みの成立過程―
Project/Area Number |
13440134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 秀実 東京大学, 理学系研究科, 講師 (40236625)
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Keywords | 岩石-流体反応 / フリーラジカル反応 / BET法 / pH / 石英 / 破壊実験 |
Research Abstract |
今年度の本研究課題では、昨年度に引き続きラジカル反応の定量的測定を実施可能にする実験枠組みの確立と常温ラジカル反応の素過程の解析を主要なテーマとして実施した。昨年度から本年度への研究および技術の進展は以下のとおりである。(1)破壊実験に振揺型に加え回転型を導入した。この結果破壊による表面積生成効率は10倍以上改善された。(2)高密封精度のグローブボックスを導入した結果、気体雰囲気制御が可能となり昨年度まで大気中のCO_2、その他のガスの影響を排除不可能であった実験が可能となった。(3)振揺型の容器をアルミナセラミクスの切削加工によって作成した。この結果高温破壊実験への展望が開けた。 以上のような実験系の高精度化および拡張の結果、次のことが明らかになりつつある。(1)常温下における完全アルゴン雰囲気下では、純水-石英の系での水素ガス/イオンの発生量は生成された表面積と比例している。(2)同条件下の長石の破壊実験では、水素ガスについてのみ石英と同様であるが、イオンは長石中のアルカリ金属元素により、pH>7.0となっている。(3)イオン強度を制御してpHを安定させた実験では、pHが低い溶液ほど水素ガスの発生量が低下している。昨年までの実験結果で、憂慮されていた不確定パラメータが確定されたことから、実際に天然の断層帯に分布する花崗岩類および泥質岩類を使用して、昇温を伴う破壊実験に取り組める基盤を確立したと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Tanaka, D.Lockner: "Evidence of H+ion generation by free radical reactions between newly fractured quartz and pure water : Apossible source of asidic solution associated with seismic events"Journal of Geophysical Research. (in press).
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[Publications] 猿渡和子, 亀田純, 田中秀実: "破壊岩石表面-水の反応経路"陸域地震の震源域を探る-つくばワークショップ論文集. 25-35 (2001)
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[Publications] Jun Kameda, Hiroaki Matsugi, Hidemi Tanaka: "Occurrences of Pseudotachylite obtained from the Nojima fault at Nojima Hirabayashi, awaji islan, Japan"Jour.Geol.Soc.Jpn. (in press).
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[Publications] Jun Kameda, Kazuko Saruwatari, Hidemi Tanaka: "Relationship between new surface area created by crushing quartz crystals in pure water and amounts of hydrogen ions generated by free radical reactions"Earth, Planet, Space. (in press).