2003 Fiscal Year Annual Research Report
雪氷コアの結晶組織モデリングによる過去の氷床流動と気候変動の解明
Project/Area Number |
13440140
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Research Institution | NAGAOKA UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
東 信彦 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70182996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 久美子 国立極地研究所, 助教授 (80202620)
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Keywords | 氷床流動 / 結晶組織 / 含有不純物 / 結晶粒成長 / 小角粒界 / 南極氷床 / 気候変動 / 再結晶 |
Research Abstract |
本研究は氷床氷中の不純物の挙動と結晶粒界移動への影響を実験的に明らかにし、その結果を申請者が開発した結晶組織発達シミュレーションに組み込むことにより、氷床コアの結晶組織データから過去の氷床流動と気候変動の情報を抽出する手法を確立することを目的としている。これまでは氷の薄片試料を用いて結晶粒成長実験を行ってきたが、15年度は不純物(硫酸、硝酸、塩酸)を低濃度(数十ppbから数ppm)含有した人工多結晶氷の結晶粒を微細化する技術を完成させ、バルク試料を用いて結晶粒成長実験を行った。また人工多結晶氷を二軸圧縮し変形中のすべり線の発生とその挙動を詳しく観察し、小角粒界形成による結晶方位変化について定量的な知見を得た。 1.バルク試料を用いた結晶粒成長速度は薄片試料による結果と比べて極めて大きい。またこれまで報告されている南極氷床氷の結晶粒成長速度より3桁大きい。 2.不純物として酸(硫酸、硝酸、塩酸)を微量含有した場合、成長速度は濃度とともに減少しppmレベルで極小となるが、南極氷床氷の成長速度に比べて依然3桁大きい。従って南極氷床氷の結晶粒成長速度には酸以外の含有不純物が大きく影響しているものと考えられる。今後原因を明らかにして結晶粒成長モデルを構築する必要がある。 3.すべり線は結晶方位に依らずどの結晶も数%の圧縮歪で発生し、小角粒界は圧縮歪約10%で発生していることが見出された。 4.小角粒界の発生により、結晶の回転が阻止される場合と止まらないで圧縮軸とC軸が平行になるまで回転し続ける場合があることが見出された。今後定式化して結晶組織発達シミュレーションに組み込む必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] L.A.Wilen: "Development, principles, and applications of automated ice fabric analyses"Microscopy Research and Technique. 62. 2-18 (2003)
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[Publications] Y.Wang: "Ice fabrics study in the upper 1500 m of the Dome C deep ice core, East Antarctica"Annals of Glacio1ogy. 37. 97-104 (2003)
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[Publications] H.Narita: "Estimation of annual layer thickness from stratigraphical analysis of Dome Fuji deep ice core in Global Scale Climate and Environment Stndy through Polar Deep Ice Cores"Mem.National Institute of Polar research, Special Issue. 57. 38-45 (2003)
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[Publications] T.Hondoh: "Physical properties of the Dome Fuji deep ice core"Mem.National Institute of Polar research, Special Issue. 57. 63-71 (2003)
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[Publications] N.Azuma: "Grain growth of ice which contains microparticles"Third International Conference on Mars Polar Science and Exploration. 8041 (2003)