2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440152
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
RICHARD W.J. 山形大学, 理学部, 助教授 (90260455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝三 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30244875)
|
Keywords | 珪藻 / ベーリング海 / 放散虫 / 古環境 / 生物源オパール / 有機炭素 / 炭酸カルシウム / フォラミニフェラ |
Research Abstract |
ベーリング海の古環境復元のため、研究代表者はベーリング海および北太平洋亜寒帯における数回の研究航海にて海洋表層の懸濁物質の収集を行った。これらの懸濁物質試料の研究によつて珪藻およびパルマ藻等のプランクトン群集の地理的分布および分類の詳細が明らかとなった(業績リスト参照)。この研究から亜寒帯の植物プランクトンの生産力は温帯と亜熱帯の植物プランクトンの生産力より高いことが判明した。また、亜寒帯ではパルマ藻と小さな羽状目珪藻「Fragilariopsis pseudonana」が卓越する植物プランクトンであったが、アリューシャン列島と沿岸付近では円心目珪藻の割合が高かった。Station KNOTでは3回(1月、5月と8月)CTDサンプルを採取して、植物プランクトンの鉛直分布を観察した。1月と5月にはパルマ藻が最多の植物プランクトンあったが、8月にはパルマ藻は密度躍層に沈み、円石藻「Emiliania huxleyi」が表面水の上部の10mに多産していた。珪藻では3つの時期ともFragilariopsis pseudonanaが一番多く産出した。現在珪藻の写真カタログを作成中である。 研究分担者は、ベーリング海および北太平洋亜寒帯より得られた7本のピストンコア試料を基にベーリング海および北太平洋亜寒帯における過去10万年〜30万年の環境変動復元の詳細を行った。これらの復元には、プロキシとして珪藻、レディオラリア、フォラミニフェラ、有機炭素、窒素、炭酸カルシウム、生物源オパール等を駆使した。環境変動復元の詳細は、業績リスト参照されたい。ここでは簡潔に述べるが、研究成果のうち代表的なものは、ベーリング海の表層水循環の概要が理解できたことや海氷分布の動向が始めて分かったこと等である。ベーリング海南部のバウアー海嶺海域では、氷期に北太平洋亜寒帯からの表層水の流入が著しく、海氷の影響は比較的少ないことが分かった、一方、氷期の海水準低下にともなうより閉鎖的になったベーリング海東南部のウムナック海台海域では、海氷による生物生産力の著しい低下と珪藻海氷種の出現を見た。また、北太平洋亜寒帯においてすでに知られていたレディオラリア種Lychocanoma nipponica sakaiiの絶滅層準がベーリング海においても同じく5万年前という事実が判明し、今後の層序学を容易にする貴重なデータを得た。
|
Research Products
(8 results)