2001 Fiscal Year Annual Research Report
Rietveld法を用いた高温高圧下でのマントル鉱物の結晶構造精密化
Project/Area Number |
13440162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 隆哉 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20243131)
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Keywords | レーザーアニーリング / 高温高圧 / マントル鉱物 / 結晶構造精密化 / Rietveld法 / ダイヤモンドアンビルセル / Nd : YAGレーザー |
Research Abstract |
今年度は、本課題の第一課題とし、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)中で高圧に保持された鉱物結晶のアニーリングを行うためのNd : YAGレーザー(マルチモード、波長1064nm、最大パワー75W)とレンズ光学系を設計・導入した。調整の結果、レーザーは、最小で20(8160)1630ミクロンに集光可能で、この状態でステンレス板を加熱すると、10W以下のパワーでも融かすことができ、当初計画の性能を有していることを確認した。 次にFeSiO_3の粉末をDACを用い60GPaに加圧後、15W程度のパワーで5分間、走査加熱を行った。その後、X線回析実験を行い、この条件下でFeSiO_3がFeOとSiO_2-stishoviteに分解していることを見出した。この結果により、DAC中の試料も計画どおり加熱できていることを確認した。 さらに、Al_2O_<3^->コランダムと白金の微粉末を体積比にして、1:4程度に混合した試料をDAC中で50GPaに加圧し、アニーリング実験を行った。最初に実験室にてアニーリング条件を検索し、その後、Spring8のBL10XUのビームラインにて、レーザーアニーリングによる高圧下での回析パターンの変化を調べた。この結果、レーザーアニーリングは有用で、50GPaもの高圧下でも、非静水圧性の緩和を示すように、回析線の半値幅が狭くなることが確認できた。この回析図形はRietveld法による構造の精密化も十分な精度で可能であることがわかった。と同時に、サンプルによりアニーリング条件は大きく異なり、高温になりすぎると粒成長が起こり、回析線がスポッティーになる問題が起こってくることもわかった。
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