2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440168
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
三澤 啓司 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助教授 (70212230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 亮 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助手 (70321560)
今榮 直也 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助手 (60271037)
小島 秀康 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 教授 (10113896)
海田 博司 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助手 (10302811)
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Keywords | ユークライト / 熱変成 / ウラン-鉛年代測定 / ジルコン / 二次イオン質量分析 |
Research Abstract |
ユークライトには,少量ではあるがジルコンが含まれている。ジルコンのウラン含有量は50〜100ppm、また娘核種である鉛はジルコンが結晶化する際に鉱物中にとりこまれない。このことから、サマリウム-ネオジム、ルビジウム-ストロンチウム法と比較して、ジルコンのウラン-鉛年代は、精度がきわめて高いと期待される。そこでユークライトの結晶化年代に有意な差があるのか、衝撃および熱変成によってジルコンのウラン-鉛同位体系は擾乱されるのかをあきらかにするために、始源的なユークライト、熱変成を受けたユークライト中のジルコンについて、二次イオン質量分析をもちいてウラン-鉛年代測定をおこなった。また、ジルコンのウラン-鉛年代と岩石鉱物学的な特徴から、ユークライト隕石母天体の初期進化過程の解明を試みた。 最も始源的で熱変成の影響が少ないYamato75011、熱変成を受けたYamato792510、熱変成により高度に再結晶化したAsuka881467ユークライト中のジルコンのウラン-鉛年代は一致年代を示し、鉛-鉛年代として〜45億5000万年が得られた。これらの年代は、測定誤差の範囲で差がない。したがって、玄武岩質ユークライトの結晶化年代は〜45億5000万年と結論された。 ユークライトが受けた熱変成の程度とウラン-鉛年代には相関が認められない。このことから、ユークライト隕石母天体での火成活動は太陽系形成直後に起こり、その期間は数千万年は継続しなかったことがあきらかになった。また、Padvarninkai隕石は衝撃により斜長石が非晶質化し、一部溶融ベインが存在する。溶融ベイン中に存在するジルコンについて、45億5000万年というウラン-鉛、鉛-鉛年代を得た。このことは衝撃溶融によってもジルコンのウラン-鉛同位体系は乱されなかったことを意味している。衝撃によって破砕したイルメナイト中に認められるジルコンでは放射起源鉛の10-40%が失われ、コンコーディア図において、下方切片はほぼ0Maという若い年代を示した。Padvarninkaiについてこれまでに報告されていた^<39>Ar-^<40>Ar年代(0.6Ga)とこの年代は一致しないことから、Padvarninkaiは複雑な衝撃および熱履歴を経てきたことを示唆していることがあきらかになった。
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