2001 Fiscal Year Annual Research Report
溶液反応の試薬濃度依存性と温度・圧力効果に関する分子動力学的研究―溶液反応エルゴードグラフィ―
Project/Area Number |
13440176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助教授 (50201679)
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Keywords | ハイブリッドQM / MM-MD法 / 分子軌道法 / メンシュトキン反応 / 微視的エントロピー / 自由エネルギー面 / 遷移状態構造 / 化学反応経路 / 自由エネルギー勾配法 |
Research Abstract |
平成13年度は主として、実践的対象となる溶液有機反応系を検討して選択することと、平衡分子動力学計算を用いた自由エネルギー面(A(T)またはG(P))上の安定構造(SS)と遷移状態(TS)を見つけだす新手法である自由エネルギー勾配法の開発と実行に力を入れた。 (1)文献調査と研究資料収集: 実験・理論両面の論文等の調査により、概念的整備と現実的反応系を探索し、同時に有機溶液化学反応系全般に関する実験結果や実験データの収拾を行なった。さらに実験化学者との討論をとおして有機溶液反応の実験的成果と実際的問題点を探った。 (2)自由エネルギー面上の安定状態と遷移状態の探索: 自由エネルギー面の安定状態と遷移状態を正確に求めた。そのために興味ある有機反応に対してモンテ・カルロ計算、分子動力学計算と統計摂動法とを組み合わせて自由エネルギー面上の力場を計算し自由エネルギー勾配法を適用することにより、水溶液中でおこるメンシュトキン反応NH_3+CH_3Cl→H_3NCH_3^++Cl^-に対する遷移状態構造を特定した。その結果、水中の反応経路は遷移状態は気相中に比べて反応系よりに大きくずれて、より電荷が分離するように大きく変形することが判った。 9月に北大で開催された分子構造総合討論会において、本研究で展開された、水溶液中系におけるグリシン分子のプロトン移動異性化反応における量子効果に関する知見を、その化学的・物理学的側面の二面からまとめて発表した。また、以下の11に記載した学術誌に発表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Isao Okazaki, et al.: "On Vibrational Cooling upon Photodissociation of Carbonmonoxymyoglobin and its Microscopic Mechanism from the Viewpoint of Vibrational Modes of Heme"Chem. Phys. Lett.. 337. 151-157 (2001)
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[Publications] Yoichi Yamaguchi, et al.: "Theoretical Prediction of Proton Chemical Shift in Supercritical Water using Gas-phase Approximation"Chem. Phys. Lett.. 348. 129-136 (2001)
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[Publications] Hajime Hirao, et al.: "Transition-state Optimization by the Free Energy Gradient Method : Application to Aqueous-phase Menshutkin Reaction between Ammonia and Methyl Chloride"Chem. Phys. Lett.. 348. 350-356 (2001)
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[Publications] Masataka Nagaoka, et al.: "Advances in Quantum Monte Carlo Method"World Scientific. (2002)