2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13440188
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大熊 毅 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50201968)
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Keywords | 不斉水素化 / ヘテロ原子置換ケトン / 光学活性アルコール / ルテニウム錯体 / Xy1BINAP / DAIPEN / エナンチオ選択性 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
ケトン類の高活性かつ高エナンチオ選択的水素化触媒の開拓は、学術的および技術的に最重要課題の一つである。本研究者は、光学活性ホスフィンに2,2'-ビス(ジ-3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(Xy1BINAP)、ジアミンに1,1-ジ-4-アニシル-2-イソプロピルエチレンジアミン(DAIPEN)を配位子にもつルテニウム錯体触媒を用いることにより、多くの芳香族ケトン類および不飽和ケトン類を高エナンチオ選択的に水素化することに成功した。興味深いことに、本反応はシクロプロピルメチルケトンを95%の高い光学収率で対応するアルコールに変換することができる。この結果は、本触媒が電子的および立体的環境の異なる二つの脂肪族基を認識できることを意味する。この環境の変化はカルボニルのα位にヘテロ原子を導入することによっても誘起されるものと推測した。実際に二つの酸素原子が置換したピルビンアルデヒドジメチルアセタールを(R)-Xy1BINAPと(R)-DAIPENを配位子とする錯体を用いて水素化したところ、対応するSアルコールが98%の極めて高い鏡像体過剰率で得られた。さらに、窒素原子が置換したジメチルアミノアセトンおよび2-(ジメチルアミノ)アセトフェノンを上記のR,R錯体を用いて水素化したところ、それぞれ対応するSアミノアルコールが92%と93%の鏡像体過剰率で得られた。これより、本不斉水素化における置換基の不斉誘起能力は、フェニル、ジメチルアミノメチル、メチルの順に低下することがわかった。さらに2-[ベンゾイル(アルキル)アミノ]アセトフェノン類の水素化では99%の光学収率を達成した。同様に、βあるいはγ位にアミノ基をもつ芳香族ケトン類も高いエナンチオ選択性で水素化することができた。本不斉水素化を基軸として、抗鬱剤として実用されている(R)-フルオキセチンなどの有用生理活性物質の合成にも成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] R.Noyori: "Asymmetric Catalysis by Architectural and Functional Molecular Engineering : Practical Chemo-and Stereoselective Hydrogenation of Ketones"Angew.Chem.Int.Ed.. 40・1. 40-73 (2001)
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[Publications] T.Ohkuma: "Asymmetric Hydrogenation of Ketones with Polymer-Bound BINAP/Diamine Ruthenium Catalysts"Adv.Synth.Catal.. 343・4. 369-375 (2001)
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[Publications] R.Noyori: "Asymmetric Hydrogenation via Architectural and Functional Molecular Engineering"Pure Appl.Chem.. 73・2. 227-232 (2001)
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[Publications] 大熊 毅: "単純ケトン類の水素化触媒の開拓:ユニークな触媒はユニークな発想から生まれる"有機合成化学協会誌. 59・5. 446-447 (2001)
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[Publications] 大熊 毅: "ケトン類の高速かつ高立体選択的水素化反応"化学工業. 52・12. 951-957 (2001)
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[Publications] 大熊 毅: "キラル医薬中間体のプロセス技術〜開発・製造とアウトソーシングの動向 (不斉水素化)"技術情報協会. 6 (2001)
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[Publications] 大熊 毅: "岩波講座現代化学への入門第18巻「社会と化学」 (キラルテクノロジー)"岩波書店. 19 (2001)