2001 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンをアクセプターに用いた連結系の光励起電子移動
Project/Area Number |
13440190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今堀 博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90243261)
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Keywords | フラーレン / 電子移動 / ポルフィリン / フェロセン / 光合成 / 時間分解過度吸収分光法 / 電子スピン共鳴分光法 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
光合成細菌の反応中心では多段階電子移動で生じた最終電荷分離状態の量子収率がほぼ100%であり、しかも寿命が秒レベルであるために、後続の化学反応を円滑に行うことができる。そこで、この様な長寿命の電荷分離状態の実現を目指して、フェロセン・亜鉛ポルフィリン・フリーベースポルフィリン・フラーレン連結系を合成した。時間分解過度吸収分光法により、亜鉛ポルフィリンの励起1重項からフリーベースポルフィリンへのエネルギー移動がまず起こり、さらにフリーベースポルフィリンの励起1重項からフラーレンへの電子移動、引き続いて亜鉛ポルフィリンからフリーベースポルフィリンラジカルカチオン、フェロセンから亜鉛ポルフィリンラジカルカチオンへと電荷が連続的にシフトし、最終電荷分離状態であるフェロセンニウムカチオンとフラーレンラジカルアニオンが生成することがわかった。しかしながら、溶液中では電荷分離状態の寿命があまりに長過ぎるために、分子間電子移動が優先して、分子内逆電子移動過程が観測できないことを明らかになった。そこで分子間電子移動を抑制するために、低温マトリックス中光照射下に、電子スピン共鳴分光法によりラジカルイオン対を追跡した。その結果、フラーレンラジカルアニオンからフェロセニウムカチオンへの分子内電子移動過程を観測することに成功した。その寿命は最長で0.38秒となり、これまでに報告された分子内電荷分離寿命としてはもっとも長く、かつ光合成の電荷分離寿命に匹敵する値となった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "Catalytic Effects of Dioxygen on Intramolecular Electron Transfer in Radical Ion Pairs of Zinc Porphyrin-Linked Fullerenes"J. Am. Chem. Soc.. 123・11. 2571-2575 (2001)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "Modulating Charge Separation and Charge Recombination Dynamics in Porphyrin-Fullerene Linked Dyad and Triads ; Marcus-Normal versus Inverted Region"J. Am. Chem. Soc.. 123・11. 2607-2617 (2001)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "Charge Separation in a Novel Artificial Photosynthetic Reaction Center Lives 380 Milliseconds"J. Am. Chem. Soc.. 122・27. 6617-6628 (2001)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "Concentration Effects of Porphyrin Monolayers on the Structure and Photoelectrochemical Properties of Mixed Self-Assembled Monolayers of Porphyrin and Alkanethiol on Gold Electrodes"Langmuir. 17・16. 2099-2108 (2001)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "Solvent Dependence of Charge Separation and Charge Recombination Rates in Porphyrin-Fullerene Dyad"J. Phys. Chem.A. 105・2. 325-332 (2001)
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[Publications] Hiroshi Imahori et al.: "An Extremely Small Reorganization Energy of Electron Transfer in Porphyrin-Fullerene Dyad"J. Phys. Chem.A. 105・10. 1750-1756 (2001)
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[Publications] 今堀 博: "色素増感太陽電池の最新技術"シーエムシー. 304-311 (2001)
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[Publications] 今堀 博他: "分子太陽電池の展望"化学工業. 537-541 (2001)