2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440191
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
浅野 努 大分大学, 工学部, 教授 (40094057)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 恭 大分大学, 工学部, 助教授 (60252508)
|
Keywords | 溶液反応 / 動的溶媒効果 / 動的反応経路 / 圧力効果 / 粘度効果 / 活性化体積 / 国際研究者交流 / ロシア:カナダ |
Research Abstract |
本年度の主たる目標は昨年度の結果を踏まえ動的溶媒効果の測定に適した二分子反応系を探索し、測定を開始することであった。以下に本年度に行った実験を記す。 1.媒体座標の意味がもっとも明確なものは活性化過程でcavityの収縮を伴うDiels-Alderタイプの付加環化反応であるとの考えに基づき、dieneを光化学的に発生すると考えられるo-tolualdehyde誘導体を合成し、光照射によるdiene(enol form)の生成を確認した。固相ではdieneの寿命は充分長かったが、液相での寿命は短く、付加環化反応速度の測定には不適当であることが明らかになった。しかしこの研究課程でproticな分子によってdieneのketo化反応過程がつよく触媒され、その反応速度が動的溶媒効果の測定に都合が良い大きさに調節できることが明らかになった。よって15年度はその測定を行う予定である。なおこの反応は活性化過程で溶媒和の大きな変化を伴わないと予想され、下記の反応と相補的なデータを提供すると期待される。 2.昨年度の文献検索の結果1,1-diarylethene誘導体への光触媒プロトン化によって生成するdiaryla lkyl cationとalkoxide ionとの反応が我々の目的に適しているのではないかと考えられた。よって2種の誘導体を合成し、反応速度の測定を試みた。その結果、何れについても活性化過程において動的溶媒効果と考えられる反応速度の粘度依存性が見られた。よってそれらの測定を継続する。なおこの反応は活性化過程で脱溶媒和が強く起こるという特徴をもつ。 3.昨年度の文献検索の結果viologen類において観測される光電子移動過程の逆反応(back electron transfer)が我々の目的に叶う新たな系を提供するのではないかと考え、viologenを合成し光照射後のviologen還元体濃度の減少を追跡する測定を試みた。様々な試行錯誤の結果、かなり再現性の良い測定結果が得られるようになった。よって今後更に測定方法、測定条件を工夫し、動的溶媒効果の測定を行う。なおこの反応は活性化過程で溶媒和が強まるという特徴をもつ。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] V.D.Kiselev, A.I.Konovalov, T.Asano, 他5名: "Solvent effect on the volume of activation and volume of the Diels-Alder reaction"Journal of Physical Organic Chemistry. 14・9. 636-643 (2001)
-
[Publications] Y.Goto, Y.Ohga, T.Asano, N.N.Weinberg: "A dynamic-route study of solution reactions : ring closure of a hexadienone"Journal of Physhics : Condensed. Matter. 14・1. 11423-11426 (2002)
-
[Publications] Y.Goto, T.Takahashi, Y.Ohga, T.Asano, H.Hildebrand, N.Weinberg: "Dynamic solvent effects on the thermal cyclization of a hexadienone formed from a diphenylnaphthopyran : An example of a system with distinctly separate medium and chemical contributions to the overall reaction coordinate"Physical Chemistry Chemical Physics. No.5(印刷中). (2003)
-
[Publications] T.Asano: "High Pressure Kinetics and Highly Viscous Media (Chapt. 3 in High Pressure Chemistry, R. van Eldik and F. -G. Klaerner ed.)"Wiley-VCH Verlag gmbh. 32 (2002)