2002 Fiscal Year Annual Research Report
量子ナノ空孔を持つ1次元チャネルが多結晶への機能性分子の取り込み
Project/Area Number |
13440201
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田所 誠 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60249951)
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Keywords | 水素結合 / 多孔質結晶 / 金属錯体 / クリスタルエンジニアリング / 水クラスター / 氷-水相転移 / カルボン酸 / ゼオライト |
Research Abstract |
本年度の研究は多孔質結晶内部に水のクラスター構造を構築することを目指した。この15〜16Aの大きさをもつ1次元型チャネルの多孔質結晶を集積させることに専念した。通常の我々が用いているtris-2,2'-biimidazolate金属錯体([M(Hbim)_3])は互いに相補的な分子間水素結合を利用した自己組織化することによって直径2nmをもつ1次元チャネルをもつ多孔質結晶を構築できることが明らかになっている。この多孔質結晶は無機原子からなるゼオライト(Zeolite)と同じような空孔物性を実現できることが分かった。さらに、ゼオライトとは異なって分子で構築されているため、その構築分子の機能性を付加することあるいは改善することが容易にできる。本研究の目的はその多孔質結晶の空孔の中で水の巨大クラスターの安定化を行うことを計画した。そのため、従来から用いてきた[M(Hbim)_3]を構築素子とする系では多孔質骨格自身を作る水素結合によってすべての水素結合部位は使われてしまうため、内部に挿入された水分子のクラスター化を安定化するような水素結合部位を多孔質骨格自身にもっていない。実際、溶媒交換反応によってこの多孔質結晶の内部に挿入された水分子はクラスター化せず、激しいディスオーダーによって水分子の存在さえ、よく分からないものになっていることが分かった。そこで、[M(Hbim)_3]と新しい相補的な分子間水素結合をするカルボン酸誘導体をみいだし、このカルボン酸骨格を多孔質結晶の骨格内に導入することによって水クラスターの安定化を試みた。このカルボン酸骨格と[M(Hbim)_3]の分子間水素結合はカルボン酸の酸素原子上に相補的な水素結合をした後でも、水素結合のアクセプター性を残すことになり、大きな水クラスターの安定化が期待できる。得られた結果を、解析してみると3層構造を有するような階層的な水-氷細線構造をもち、バルクの水と同じように氷-水の相転移をもつことが分かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Morita, T.Murata, S.Yamada, M.Tadokoro, K.Nakasuji: "Novel Oligoimidazoles for Hydrogen-bonded Charge-Transfer Complexes"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 379. 83-88 (2002)
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[Publications] M.Tadokoro, H.Kanno, T.Kitajima, H.S.-Umemoto, N.Nakanishi, K.Isobe, K.Nakasuji: "Self-Organizing Super-Structures Fomed From Hydrogen-Bonded Biimidazolate Metal Complexes"Proc.Natl.Am.Soc.USA. 99. 4950-4955 (2002)
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[Publications] Y.Yoshikawa, K.Kaawabe, M.Tadokoro, Y.suzuki, N.Yanagihara, A.Nakayama, H.Sakurai, Y.Kojima: "New Zinc (II) Complexes with Tetradentate Amono Acids Derivatives : Structure Characterization, Solution Chemistry, and in vitro Insulinomimetic Activity"Bull.Chem.Soc.Jpn. 75. 2423-2432 (2002)
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[Publications] Y.Morita, T.Murata, S.Yamada, M.Tadokoro, A.Ichimura, K.Nakasuji: "Novel building blocks for crystal engineering : the first synthesis of oligo(imidazole)s"J.Chem.Soc., Perkin Trans.1. 2598-2600 (2002)