2001 Fiscal Year Annual Research Report
スピン分極ドナーを用いた有機磁性金属、有機・無機複合磁性体の構築
Project/Area Number |
13440206
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
泉岡 明 茨城大学, 理学部, 助教授 (90193367)
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Keywords | 有機磁性金属 / ドナー / ESR / ラジカル |
Research Abstract |
本研究は交差共役型、超共役型のスピン分極ドナー、アクセプター分子を合成し、有機強磁性金属を構築することを目標として研究をおこなっている。その基礎段階としてこれまで申請者はいくつかのスピン分極ドナーを合成し、一電子酸化して得られるそれらのカチオン種が基底高スピン種を与えることを報告してきた。 今回、ベンゾキノンやアントラキノン等のキノン系アクセプター分子にニトロニルニトロキシドが置換したスピン分極アクセプターの設計および合成をおこなった。合成した化合物はESR測定、X線結晶構造解析により、それぞれ目的の生成物であることを確認した。それらアクセプター分子をDMF系溶媒中ナトリウム金属で処理することによりアニオンジラジカルを発生させ、その溶液を77KでESR測定をおこなったところ三重項種に由来する強い微細分裂スペクトルを与えた。この結果はアクセプターについてもスピン分極ドナーと同様の機構で一電子還元により基底三重項種が得られることを示すものであり、高スピンイオン種の合成、磁性導体構築研究がスピン分極アクセプター種についても展開できることが明らかとなった点で非常に意義深い。 また有機磁性金属を構築するためのTTF骨格を有する導電性ラジカル分子の合成研究に関しては一段階手前の中間生成物の合成に成功した。現段階における課題は中間生成物の収率向上である。現在その点に関して精力的に研究をおこなっている。
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