2001 Fiscal Year Annual Research Report
π共役安定ラジカルの光励起高スピン状態を介した光誘起スピン整列
Project/Area Number |
13440211
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手木 芳男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00180068)
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Keywords | 分子磁性 / 光誘起スピン整列 / 励起高スピン状態 / π共役安定ラジカル / 時間分解ESR / アントラセン誘導体 / 励起五重項状態 / フェルダジルラジカル |
Research Abstract |
申請計画どおり高スピン励起状態を与えるπ共役安定ラジカルの温度変化も含めた詳細な光学スペクトル測定を行う目的で、光学測定用温度可変クライオスタットを組み込んだ過渡吸収装置、時間分解蛍燐光測定装置を組み上げました。また、ラジカル種をフェルダジルラジカルに変えた系でも励起四重項および五重項項スピン状態の検出に成功しました(Y. Teki et al.,Mol. Phys. in press.)。さらに、アントラセン以外の純有機縮合多環芳香族分子にスピン源として安定有機ラジカルを一つ以上つけた分子として、ピレン-フェルダジルラジカル系を取り上げ、この系でも予測どおり光励起四重項高スピン状態を時間分解ESRにより検出する事に成功しました(Y. Teki et al.,投稿準備中)。以上の結果、これまでアントラセン-イミノニトロキシド系の光励起状態と光誘起スピン整列の研究で明らかにしてきたπ共役スピン系の光励起高スピン状態の生成条件を,種々の異なる系で検証する事ができました。上記の研究成果から光励起高スピン状態の生成にたいする必要条件の更なる知見が得られ、光励起高スピン状態をとる系の分子設計を行う上での明確な設計指針が得られました。また、光励起高スピン状態の寿命を上記の過渡吸収装置を用いてアントラセン-イミノニトロキシド系の励起四重項状態では約7μ秒、励起五重項状態では約20μ秒と決定する事ができ、スピン多重度が高いほどこの系では基底状態との間のスピン禁制が強く寿命が長くなっている事が解った。 さらに、次年度に予定しているパルス光検出磁気共鳴(Pulsed ODMR)の予備実験として、すでに光励起三重項状態がCW-ODMR法で検出できている寿命の長い系を標準試料として用いた予備実験を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Teki: "Photo-Induced Spin Alignment Utilizing the Excited Molecular Field between the Excited Triplet State of Phenyl-or Diphenylanthracene and the Dangling Nitroxide Radicals : Theoretical Investigation of the Mechanism for the Intramolecular Spin Alignment"Polyhedron. 20. 1163-1168 (2001)
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[Publications] Y.Teki, M.Nakatsuji, Y.Miura: "Excited High-Spin States of Novel pi-Conjugated Verdazyl Radicals : Photo-Induced Spin Alignment Utilizing the Excited Molecular Field"Molecular Physics. (in press). (2002)