2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化状態識別キレート吸着剤の創製と有害金属スペシエーションへの適用
Project/Area Number |
13440218
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小熊 幸一 千葉大学, 工学部, 教授 (60009529)
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Keywords | キレート吸着剤 / スペシエーション / セレン / フローインジェクション分析 / 環境分析 |
Research Abstract |
セレン種の化学種別自動定量を目指して、ビスムチオールII担持樹脂カラムを組み入れたフローインジェクション分析システムを設計し、その性能を評価した。なお、検出には、硫化物によるメチレンブルーの還元反応に対するセレン(IV)の接触反応を利用した。 構築した操作法は以下のとおりである:フローインジェクション分析システムは、内径0.5mmのPTFEチューブとダイフロン製のコネクターを用いて構成した。0.1M塩酸溶液とした試料の一定量をシステムに注入し、Se(IV)をビスムチオールII担持樹脂カラム(50×2mm)に吸着させる。0.1M塩酸でカラムを洗浄した後バルブを切り換え、0.01Mペニシラミン/0.1M塩酸溶液を用いてカラムに吸着しているSe(IV)を溶離し、sulfide-sulfite溶液及びメチレンブルー(MB)溶液と混合し、分光検出器により波長665nmにおけるMBの吸光度の減少をモニターする。Se(IV)とSe(VI)の両者を含む試料では、上記のようにして先ずSe(IV)のみを測定する。次いで、試料中のSe(VI)は塩酸溶液として煮沸、Se(IV)へ還元した後、全セレンの測定を行い、差からSe(VI)を算出する。 本法のSe(IV)の定量範囲は20ng〜900ngであり、検出限界は6.7ngである。また、注入試料体積を20mlとしたとき1時間あたり約10回の測定ができる。100ngSe(IV)を10回測定したときの相対標準偏差は1.8%、600ngSe(IV)を10回測定したときの相対標準偏差は0.8%であった。 本測定法を地下水を用いた添加回収実験に適用したところ、定量的な回収率が得られ、再現性も良好であった。よって、本法は様々な試料中のセレンのスペシエーションへの適用が期待できる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] J.Nakajima, Y.Hirano, K.Oguma: "Determination of Lead in Seawater by Flow Injection On-line Preconcentration -Electrothermal Atomic Absorption Spectrometry after Coprecipitation with Iron(III) Hydroxide"Analytical Sciences. 19巻. 585-588 (2003)
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[Publications] K.Tomioka, K.Oguma, T.Seki: "Flow Injection On-line Separation and Spectrophotometric Determination of Traces of Lead in Environmental Samples"Environmental Chemistry (China). 22巻. 211-214 (2003)
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[Publications] 関 達也, 小熊幸一, 石橋耀一: "フローインジェクション-オンラインイオン交換前濃縮-ICP発光分析法による鉄鋼中モリブデンの高感度定量"鉄と鋼. 89巻. 939-942 (2003)
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[Publications] T.Baba, M.Shibukawa, T.Heya, S.Abe, K.Oguma: "Liquid chromatography and differential scanning calorimetry studies on the states of water in polystyrene-divinylbenzene copolymer gels"Journal of Chromatography. 1010巻. 177-184 (2003)
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[Publications] M.Shibukawa, A.Unno, T.Miura, A.Nagoya, K.Oguma: "On-Column Derivatization Using Redox Activity of Porous Graphitic Carbon Stationary Phase : An Approach to Enhancement of Separation Selectivity of Liquid Chromatography"Analytical Chemistry. 75巻. 2775-2783 (2003)
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[Publications] 篠原敏雄, 松原寛和, 善国信隆, 小熊幸一: "陰イオン交換分離/誘導結合プラズマ発光分析法による鉄鋼中ホウ素の定量"分析化学. 52巻. 851-853 (2003)
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[Publications] 日本化学会編(共著): "第5版実験化学講座 基礎編I 実験・情報の基礎"丸善. 461 (2003)