2002 Fiscal Year Annual Research Report
無脊椎動物横絞筋の巨大サルコメアを維持する弾性タンパク質
Project/Area Number |
13440248
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 澄子 千葉大学, 理学部, 助教授 (50093232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 工作 大学入試センター, センター長 (60012267)
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Keywords | I-コネクチン / 巨大サルコメア / 弾性タンパク質 / 1分子計測 / ザリガニ / タイチン / 横紋筋 / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
無脊椎動物に存在する,脊椎動物の4倍もの長さを持つ巨大サルコメアの横紋構造がどのように維持されているのかを,その弾性タンパク質を中心にして調べている。 これまでの研究で,節足動物の横紋筋に存在する弾性タンパク質I-コネクチンの全一次構造17,352残基を決定した。その結果,脊椎動物コネクチンに存在する構造(Igドメイン及びPEVK領域)もあったが,まったく新しい繰返し配列を持つ領域(SEK repeat)も存在した。また,サルコメア内における局在から,分子全体の3/4は伸縮に関与している可能性があった。 そこで,SEK領域の特性を詳細に調べるために,サブピコニュートンレベルの高分解能かつ数十pN以上のレンジに渡っての力測定が可能である分子間力顕微鏡を用いて,この領域のみから構成されたペプチド1分子について伸長測定をおこなった。試料ペプチドはSEK領域の繰返し配列を11個含み,両末端にGSTまたはビオチンを付加することで,基盤またはプローブへ固定できるようにした。この1分子計測の結果,エントロピー弾性に由来すると考えられる張力が観察されたので,worm like chainモデルによるフィッティングを行い,0.38±0.10nm(n=62)のpersistence lengthを得た。この値がアミノ酸1個の主鎖方向の長さとほぼ等しく,SEK領域は全長に渡ってランダムコイルであり、非常に伸びやすい性質であることが示唆された。 このことから,無脊椎動物の横紋筋に存在する弾性タンパク質I-コネクチンは,PEVK領域が2つある(脊椎動物は1つ)と共に,脊椎動物には存在しない非常に伸びやすい性質の新しい配列を持つことで,脊椎動物の4倍もの長さの巨大サルコメアを担うことができると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fukuzawa, A.: "Single Molecule Measurement of Elasticity of Serine-, Glutamate-and Lysine-Rich Repeats of Invertebrate Connectin Reveals That Its Elasticity Is Caused Entropically by Random Coil Structure"J.Mus.Res.Cell Motil.. 23(in press). (2002)
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[Publications] Oshino, T.: "The entire cDNA sequences of projectin isoforms of crayfish claw closer and flexor muscles and their localization"J.Mus.Res.Cell Motil.. 24(in press). (2003)