2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 勝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40115259)
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Keywords | 補体系 / 脊椎動物 / 自然免疫 / 遺伝子重複 / 進化 |
Research Abstract |
カタユウレイボヤのゲノムアノテイションに参加し、補体系遺伝子としてはC3が2つ、Bfが2つ、C1qが2つ、MBPが9つ、フィコリンが9つ、MASPが4つ、MAC/perforinドメインを有する遺伝子が11存在することを明らかにした。これは哺乳類以外では始めての網羅的な補体系遺伝子の探索であり、C1qやMAC/perforinドメインなど予想されなかった遺伝子の発見もふくめて、補体系の進化を考える上での重要な情報を提供した。このうちBf遺伝子について、詳細な解析を行ったところ、2つの発現している遺伝子と1つの5'側を欠失した擬遺伝子が隣接して存在し、ホヤBf遺伝子は縦列遺伝子重複により増幅したことが示された。発現している2つの遺伝子は、ほぼ100%の塩基配列の一致する部分が2カ所存在し、近年の遺伝子変換により生じたと考えられた。また、Bf遺伝子領域には極めて高密度に反復配列が存在しており、遺伝子重複、遺伝子変換過程への関与が示唆された。ドメイン構造からは、ホヤBfは脊椎動物Bfには存在しない余分なドメインを有しており、またそのセリンプロテアーゼ・ドメインは脊椎動物のClr/s, MASP-2/3からのみ知られている特殊なものであり、補体系の成立初期には活発なエクソン・シャフリングが行われていたことが示唆された。補体系の中心成分C3と、その祖先と考えられるアルファ2マクログロブリンの遺伝子重複の時期を明らかにするために、チオエステル結合を含む両者に共通な配列部分に設定したプライマーを用いたRT-PCRを行った結果、軟体動物のキセルガイからはアルファ2マクログロブリンが2種類、棘胞動物のヒドラからはどちらとも決定できない遺伝子が2種類単離され、その構造解析によりチオエステル含有タンパクの進化の過程が明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Endo, Y.: "Origin of mannose-binding lectin-associated serine protease (MASP)-1 and MASP-3 involved in the lectin complement pathway is traced back to an invertebrate, amphioxus lineage"J. Immunol.. (in press). (2003)
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[Publications] Shida, K.: "Hemocytes of Ciona intestinalis express multiple genes involved in innate immune host defense"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 302. 207-218 (2003)
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[Publications] Dehal, P.: "The draft genome of Ciona intestinalis : insights into chordate and vertebrate origins"Science. 298. 2157-2167 (2002)
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[Publications] Matsuo, M.Y.: "Nucleotide sequence of the MHC class I genomic region of a teleost, the medaka (Oryzias latipes)"Immunogenetics. 53. 930-940 (2002)
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[Publications] Suzuki, M.M.: "C6-like and C3-like molecules from the cephalochordatate amphioxus, suggest a cytolytic complement system in invertebrates"J. Mol. Evol.. 54. 671-679 (2002)
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[Publications] Terado, T.: "Conservation of the modular structure of complement factor I through vertebrate evolution"Dev. Comp. Immunol.. 26. 403-413 (2002)
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[Publications] Nonaka, M.: "Complement system : Evolution. in "Encyclopedia of the human genome""Macmillan Publishers Ltd. (in press). (2003)