2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統樹に基づく頭索動物亜門(ナメクジウオ類)の形質進化の解明
Project/Area Number |
13440253
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 輝昭 名古屋大学, 博物館, 教授 (50126885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 睦 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90136896)
|
Keywords | ナメクジウオ / Branchiostoma / Epigonichthys / ミトコンドリアDNA / 単系統群 |
Research Abstract |
(1)標本の現地採集:6月に、西川と研究協力者野原正広博士(東大海洋研究所学術研究支援員)が中米パナマ(太平洋側とカリブ海側)とカリブ海のバルバドスにおいて、また8月には西川がインド洋のモルジブ諸島で、船を雇ってのドレッヂと自らのSCUBA潜水によって採集を試みた。その結果、Branchiostoma californienseとオナガナメクジウオEpigonichthys lucayanusをそれぞれ相当数採集することができた。 (2)交換による海外からの標本入手:ブラジルからBranchiostoma caribaeum,フロリダからB. lanceolatum,オーストラリアのさんご礁域からオナガナメクジウオとE. cultellus、およびナポリからB. lanceolatumを入手することができた。 (3)これら新規に入手した資料のほぼ半数について、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の全塩基配列を決定した。 (4)上記の塩基配列データとすでに昨年度までにえられているデータを総合して、以下の結果を得ることができた:(a)データバンクにヨーロッパ産のB. lanceolatumのmtDNA配列として登録されたものがB. floridaeのものである可能性が高いことがわかった。 (b)オナガナメクジウオの日本産個体群において、形態的には酷似する一方mtDNAの塩基配列において明瞭に異なる2群が識別された。 (c)オナガナメクジウオ以外のカタナメクジウオ属Epigonichthysが単系統群をなすことが確認された。 これらの成果の一部はすでに、日本動物学会第73回大会と日本進化学会第4回大会において、野原正広・西田睦・西川輝昭の連名で口頭発表された。論文執筆の準備も進んでいる。 (5)2003年3月、東京において研究打ち合わせを行い、次年度(最終年度)の研究計画を確定することができた。
|